私の絵本体験記

「絵本フォーラム」92号(2014年01.10)より

絵本がつなぐ大切なもの

奥村 恵子さん(兵庫県西宮市)

 私が読み聞かせを始めたのは、妊娠5カ月の頃でした。そして息子が誕生し、絵本に囲まれた生活が始まりました。0歳の頃は反応があまりなく、絵本が息子にどんなふうに届いているのかわかりませんでしたが、1歳に近づくにつれて絵を見ていろいろな表情をしたり「アーアー」など言葉を出したりして反応をするようになりました。
 2歳になった最近はお話をするようになりました。生まれる前から絵本とつながっていたので、この時期までにたくさんの言葉を蓄えていたのでしょう。その言葉が、今、どんどん外へ飛び出しています。自分で言葉を考えて発し、人とつながろうとしています。その姿をそばで見ていてとても幸せな気持ちになります。
 ある時、息子が1冊の絵本を持ってきました。しかし、いつもと様子は違っていて、すぐそばにいたイヌのぬいぐるみにその絵本の読み聞かせを始めたのです。題名を読み、ページをめくり、お話が始まりました。もちろん文字を読むことはできません。いつも聞いているように読むページもあれば、絵を見てお話を作って読むページもありました。この姿はその日きりでしたが、その時に感じたことは、毎日一緒に絵本を読んでいる時、ただ私の言葉を聞いて絵を見ているのではなく、絵を見ながら自分なりに想像を広げて絵本の世界を楽しく旅していたということでした。
 毎日の絵本の旅がすてきな未来につながっていることを信じて、私は今日も息子と一緒に絵本の世界へ旅に出かけます。(おくむら・けいこ)

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