私の絵本体験記

「絵本フォーラム」82号(2011年05.10)より
子どもの成長と私の宝物
長谷川 美奈子さん(神奈川県川崎市)


 初めての赤ちゃんが生まれ、喜びに溢れたのもつかの間、慣れない育児にとまどい悩み疲れていた日々。そんな中私と小さな彼とを繋いでくれたのが絵本という小さな希望でした。初絵本は『ぴょーん』。3カ月の首もすわらないこの小さな天使は、ページをめくるたびに目を左右に動かしているのを、私は今でもはっきりと覚えています。赤ちゃんでも絵本はわかるのだと。
 お座りが上手になった頃『じゃあじゃあびりびり』は、私の膝の上で何度も何度も読んだ絵本の一つです。『おててがでたよ』のシリーズはお気に入りの絵本で、一人でもよくページをめくっていました。
  1歳頃には、『こんにちは』のように、お花さんに「こんにちは」と可愛らしい仕草であいさつして、成長を感じさせてくれました。家で『しろくまちゃんのほっとけーき』を見ながら、実際にホットケーキを焼いた時は絵本に生地がこびりついてしまいました。そのことも、今は懐かしささえ感じます。
 そんな彼も9歳になろうとしています。少しずつ、自分の世界を築きつつあり、もう私の出番は数少ないでしょう。広い空想の世界は、目に見えない大切な物を彼に教え、これからの道しるべとなるのでしょう。絵本の読み聞かせは、私自身の癒しのひと時にもなっていたのは言うまでもありませんし、だからこそ継続したように思います。彼の存在そのものが神様から私への贈り物なのだと、またそう思わせてくれる、たくさんの絵本に出会えたことに感謝したいと思います。(はせがわ・みなこ)

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