おすすめ絵本

「絵本フォーラム」第73号(2010.11.10)








『かげ』
  スージー・リー / 作 講談社

 物置小屋で影と戯れながら遊ぶ少女を描いた文字なし絵本。女の子は手で鳩の影を作り飛ばします。すると、ほうきは花に、掃除機はゾウに、自転車の車輪は月に大変身。女の子は靴と自分の体で狐の影を作ります。周りがジャングルのようになって、いろいろな動物が出現する中で、狐が乱暴を働こうとします。少女の空想の広がりが、白い背景に黒い影と光の黄色のコントラストで見事に描かれています。


『のまどくん』
  片山健 / 作 文渓堂

 のまどくんの散歩を描いた絵本。のまどくんは散歩の途中に大好きなものにたくさん出会います。後ろからついてきた犬、パチャピチャ歩ける水たまり、せみのぬけがらや落ちている消しゴムなどの宝物、つえ、高い空をゆく飛行機を見ているひかりちゃんなどです。歩き続けながらどこでも楽しみを見つけられる個性的な幼児の姿が、にじみを利かした水彩を通していきいきと伝わってきます。








『りすでんわ』
高橋和枝 / 作 白泉社

 森のりすたちが、町に電話という便利なものがあるということを聞いて電話を作ることにしました。杉の木を電信柱に見立て、つるでできたロープを電線にし、粘土で作った電話機をとりつけました。月のきれいな晩、りすの子どもは電線を伝って一直線におばあちゃんのところまで行き、受話器を持っておばあちゃんに月の美しさを伝えました。小さなりすたちのユーモラスな行動がストーリーと絵で楽しめます。

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