私の絵本体験記
「絵本フォーラム」66号(2009年09.10)より
「まだまだ続く読み聞かせ会」
津田美恵さん(兵庫県神戸市)

 長男が入学と同時に始めた小学校での読み聞かせも8年目を迎えた。その息子は只今中2だが、反抗期はどこへやら !? 毎日一途に白球を追いかける正真正銘の野球少年となった。

 私は読み聞かせのリハーサルを兼ねて、私より体の大きくなった息子に今でも絵本を読んでいる。普通に考えれば少し奇異に映るかもしれないが、うちではずっと積み重ねてきた光景なのだ。
  小学生向けの絵本を中学生に?と思われるかも知れないが、絵本とは年相応にメッセージや感動を受容していけるものである。
  読み終えると、息子は「ええ話やな〜。」と感慨深げにしみじみと口にする。「何がどんな風に良かったの?」と、難しい年齢の過渡期にある息子に母は少し探りを入れて聞いてみたいが、それは禁句!必ずや日々成長する息子の糧になっていると確信しているからだ。
  そう思わせてくれるこんな一つの証があった。ある上司の記念祭に、どうしてもっと私たち夫婦が招かれた。
  が、そのお宅はマンションの4階。エレベーターもなく、足の不自由な私には過酷な状況だったが、夫に助けられ無事に参列させていただいた。そして、私たちが帰って来るなり息子は一番にそれを心配してたずねてきた。「だいじょうぶ。パパがおんぶしてくれたよ。」と伝えると、まばゆいばかりの嬉しそうな顔で8才の息子はこう言った。「パパ、ありがとうね。」

 近頃は少し照れくさそうに聞く息子だが、2人の読み聞かせ会はまだ続きそうだ。

前へ次へ