私の絵本体験記
「絵本フォーラム」64号(2009年05.10)より
「ささやかな贈りもの 」
長澤 聡子さん (福岡県福岡市)

 私は、寝る前に母がしてくれる本の読み聞かせが大好きでした。布団の中でまどろみながら聞いた母のやさしい声は、今でもその時のぬくもりや匂いとともに覚えています。

 結婚し、上の子が生まれて絵本を読んであげたいと思うも、本屋でいい絵本を探すのが限界にきた頃、『ほるぷこども図書館』との出会いがありました。

 それは5年前、我が家にやってきたその日に子どもは、片っ端から絵本を手に取り、「読んで」。気付けば、本の山がひとつ、ふたつ…。その当時とっても気に入っていたのが『ちいさなヒッポ』。「グァオ、あぶらい」がお気に入りでした。幼稚園に入った時は、『さっちゃんのまほうのて』や『ひろしまのピカ』を何度も「読んで」。何か感じることがあったのか、そんな類いの絵本をしばらく持って来ました。

 その他、『エルマーのぼうけん』シリーズで冒険の旅を楽しみ、『ぼくは王さま』でおちゃめな王さまに共感したり、『こぶとりじい』で「てれつく すととん すっとんとん」の節を毎日変えたりする私に声を立てて笑っていました。

 当時、活字離れだった主人も絵本の世界を楽しむようになり、「トイレまでついてきて」という子どもに「おぉう豆太ぁ」と言ったり、わんわん大声で泣く下の子に「うんとなけ、きがすむまでなくがええ」と絵本の台詞を借りて子どもに声をかけたり、本当に絵本があってよかった、と感じています。

 こんな楽しくて、やさしい時間をこれからも大事にしていきたいと思います。(ながさわ・としこ)

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