リレー

子ども達と過ごす絵本の時間
(長崎・大園幼稚園教諭 ・釘山 恵吏 )


 
 「今日の絵本は何?」幼稚園の子ども達は、毎日の絵本の時間をとても楽しみにしています。年長児にもなると、文字を読める子も多く、一人で絵本を楽しむ姿もよく見られますが、絵本を読んでもらうということは、子ども達にとって特別なようです。

 絵本を読む時、子ども達は目を輝かせ、豊かな言葉やリズムに聞き入りイメージを膨らませながら、絵本の世界を旅しています。登場人物に自分を重ね、一緒にどきどきしたり、怒ったり、笑ったり、時には集中するあまり、息をするのも忘れ、読み終わった途端、深いため息をつくこともあります。そして、周りの友達も同じ気持ちでいたことを知って喜び合い「どきどきしたね!」「おもしろかったね!」と言い合う子ども達は、どの顔も満足気です。

 クラスで絵本を読み終えると、いつも「その絵本見せて!」と、絵本は、子ども達の手を渡り歩きます。絵本の周りに顔を寄せ合い、周りの友達と発見を伝え合ったり、感動を分かち合ったりしているのです。このような絵本を通してのコミュニケーションも、子ども達の楽しみの一つです。お互いが影響し合いながら、絵本の世界を楽しみ、その世界を広げていっています。

 一冊の絵本から広がる豊かな世界は、子ども達の感じる心を育ててくれます。その世界を子ども達と一緒に楽しんでいけるように、私も、感じる心や絵本を見る目を育てていきたいと思います。これからも、たくさんの素敵な絵本との出会いを楽しみにしています。そして、子ども達が、豊かな心で、大きく成長していけますように願っています。(長崎・大園幼稚園教諭/くぎやま・えり)

絵本フォーラム59号(2008年07.10)より

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