私の絵本体験記
「絵本フォーラム」56号(2008年01.10)より
「 わが家で選ぶわたしの絵本 」
北 素子さん(神奈川県川崎市)

 子どもには絵本を読んであげたいな。娘が 4 か月の頃から、図書館に通うようになりました。どんな絵本がいいのか分からないので、文字が少なく絵が大きく描かれていて、可愛いものを選んで。失敗したくないから、よほど気に入ったものでないと購入しませんでした。

 中でも、『じゃあじゃあびりびり』は大ヒットでした。「今から掃除機ぶいーん、ぶいーんするよ。」「ぶーぶー車が通ってるね」日常のあらゆる場面で、この絵本の言葉を自然に使っている自分に気がつきます。生後 9 か月、「あかちゃん あーんあーん」のページにくると必ず、目を細めながら「あーん あーん」と声を発する娘。他のページでも、指さししながら音を真似るようになりました。そんな娘の反応を見ていると、こんな赤ちゃんとでも、一冊の絵本で共に楽しむことができることに、何とも言えない幸せを感じたのです。

 図書館で借りた本を吟味して、ようやく手にした一冊には本当に満足します。でも、その一冊に巡り合えるのは至難の業だということも実感していました。

 そこで、 2 才半を過ぎた頃、『ほるぷこども図書館』を購入しました。届いた新品の本に陶酔している私に、「これ返さなくていいの?」と言う娘。これだけ全部が「わたしの本」になった歓びに目を輝かせていたのです。

 自分では決して選ばないであろうジャンルの絵本もありましたが、娘は気に入って読みせがんでくるのです。それを見ていると、親の感覚で決めつけていたことが、せっかくの子どもの可能性を狭めていたのかもしれないと思ったのです。

 「ねえ、これ読んで!」 4 才になった娘は、今日も本棚の前で、自分の気分に合わせて絵本を選んでいます。

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