こども歳時記

〜絵本フォーラム第56号(2008年01.10)より〜

あなたの今年の「目標・誓い」は何ですか? 

 新年、あけましておめでとうございます。

 今年は、4年に一度のうるう年。北京オリンピックの年。十二支の始まり、ねずみ年…。一年の始まりのうきうきした気分をいつもより強く感じます。

 さて、あなたの今年の「目標・誓い」は何ですか? 三日坊主に終わっているけれど、今年こそ続けよう!と、思っていること、以前から続けていることで、今年も続けようと思っていること…。

 「継続は力なり」という格言がありますが、「言うは易く行うは難し」。でも、好きなことなら続けられますね。

 さて、あなたの好きなことは、何ですか。時間を忘れて、没頭できること。人からみると、取るに足らないことでも、自分にとっては何物にもまさること。『あたまにつまった石ころが』(キャロル・オーティス・ハースト/文、ジェイムズ・スティーブンソン/絵、千葉茂樹/訳、光村教育図書)。これは、子どものころから石ころ集めが好きで「あいつは、ポケットにもあたまのなかにも石ころがつまっているのさ」と、言われていた人がどんなときも好きなことを続けて、とうとうその好きなことで仕事についたという実話です。

 好きなことに関連した仕事ができるなんて、素敵ですね。生きていくのがつらいときでも、好きなものがあれば心が和みます。希望が持てます。

 まだ好きなことを見つけていないあなた、今年は自分の好きなことをみつけてみませんか。すでに好きなことを持っているあなた、好きに磨き(学び)をかけましょう。


『あたまにつまった石ころが』
(光村教育図書)
誰にでもできるとても簡単な方法 

『声の文化と子どもの本』
(日本キリスト教団出版局)
  

 ところで、無限の可能性を秘めている子どもたちの「好きなこと」探しは、成長のひとつの指標です。赤ちゃんのときは、まわりの大人が決めていた事も、少し大きくなると自我が出てきます。この時に多様な体験をすることで、「好きなこと」に出合う機会が増えます。大人は、子どもが豊かで幸福な幼児期を過ごし、より多くの体験ができるように気をつけたいところです。

 実は、この豊かで幸福な幼児期に子どもが、もうひとつ大切なことに出合えるように大人は、気をつけることがあります。

 それは「声の文化(語り)」です。良くも悪くも多くの情報が氾濫している現代社会において、大人として親として未来を生きる子どものしっかりした土台を作るために、必要なことです。『声の文化と子どもの本』(松居直/著、日本キリスト教団出版局)。子どもの成長にとって「声の文化」が、どれほど大切なことか。そして、私たちが大人として、親として伝えなければならない重要さを改めて認識できます。声を伝えるための大人も子どもも楽しめて、誰にでもできるとても簡単な方法は…? 答えは、いつもあなたのしてること。年の初めに志を立てるにあたって、お薦めの一冊です。

 さて、もう一度尋ねます。今年の「目標・誓い」は決まりましたか?

 それを、継続しましょう。

(まつもと・やすこ)


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