リレー

赤ちゃんはお母さんの声が大好き
( 大阪・あや助産所助産師・山本 あや子 )


 助産師として生後2ヶ月ぐらいまでの赤ちゃんのお家を訪問しています。そこでは、赤ちゃんマッサージや遊び方も、実際に私が行いながら説明します。
  赤ちゃんの視力は、 30センチ前後で目を見つめ合える程度に見えていますが、未熟です。それに比べ聴力は完成されています。 
  本来人間は外界からの情報の多くを視覚から得ることを考えれば、赤ちゃんは特殊ですね。私は赤ちゃんの目を見つめて、しっかり声をかけながら笑顔で、赤ちゃんの身体を擦っていきます。
  腹ばいにして背中を擦ったあと、上向きに戻した時の赤ちゃんの表情、驚きと困惑と思慮深さを見るのは、私自身の楽しみにもなっています。
  私が赤ちゃんを抱っこすると、「(赤ちゃんが)気持ちよさそう」とお母さんがよく言います。「そりゃ、私は慣れているから。お母さんもすぐに慣れるよ」と言い、「お母さんの仕事は、赤ちゃんを気持ち良くしてあげること」と話します。

 そして「赤ちゃんにいっぱいお話かけしてね」と言うと、「何を話していいか分からない」というお母さんが意外に多いのです。「まずは、自分が今やっていることや思っていることを、声に出して話していくの」と、またまた、見本として私は赤ちゃんに話しかけます。 加えて、「絵本を読んであげてね。絵本はいいよ」と言います。「いつから?」「もう、わかるんですか?」「どんな絵本がいいんですか?」と聞かれます。
  赤ちゃんはお母さんの声を聞くのが大好きなこと、絵本の中の言葉を使って赤ちゃんと遊べばいいこと、すてきな言葉が絵本に詰まっていることなどを話し、ロングセラーの赤ちゃん絵本を紹介し「お母さんも楽しんでね」と言い添えるのです。

絵本フォーラム54号(2007年09.10)より

前へ次へ