「かあちゃんの声いいなぁ、かあちゃんの声になりたいなぁ…」
いつもの絵本タイム、当時3歳の娘がしみじみとした口調でぽつりと言ったこのセリフを、私は今でも忘れることができません。
いつもいろんなことにイライラ悶々と焦っていた私。家事や育児、仕事…と何をやっても自分のマイナス面ばかりが目立つ日々、また、低音かつ声量のない声も、幼い頃から周りにかき消される困った存在で、自信どころかコンプレックスの塊…ほめられる機会などありませんでした。「なに言ってんの〜? かあちゃんの声なんて全然あかんやん……ハハハ」幼い子の言葉を、最初の頃は冗談っぽく、笑いで流していました。
でも、しばらくして気づいたのです。
絵本タイム、それは私にとって“好きなこと”と育児が楽しく両立できるひととき、イライラやけんかも家事も一時中止し、子どもと向き合うためだけに過ごす時間。子どもにとっては、たとえ私の声がどんな声であろうが、どんなに素敵な有名人やプロの読み聞かせにも代えがたい、素敵な声に聞こえているのだろう。
つい先日、娘の口から冒頭のセリフが久々に出ました。「誉めてくれて本当にありがとう!」絵本の魔法の力をしみじみ感じつつ、原点に立ち返る思いがしました。 |