時の流れは万人に平等で普遍的なものであるはずですが、どうも子ども時代に限っては違うような気がします。子どもには特別な時間の流れがあるのではないかと、大人になればだれもが体験として気づくのではないでしょうか。
『脳内汚染』(岡田尊司/著、文藝春秋)という本が話題になっています。近年、「脳」とつけば本が売れるというような傾向がありますが、この本は少し違います。メディアと脳とさまざまな少年犯罪のかかわりが、具体的な事件を検証して論じられています。そのエピローグに「子どもの時間は大人の時間とはまるで意味が違う」とありました。子どもの時間の流れが特別に感じられること、つまり、大人のそれよりもずっとゆっくりで、豊かで、変化に富んでいることとかかわりがあるように思えます。子ども時代の時間をどう過ごしたか、何を与えられ何を獲得したかは、後の人生に大きな影響を与えるに違いありません。
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『脳内汚染』 (文藝春秋) |