リレー

絵本の世界から劇遊びへ
(神奈川・ベネッセチャイルドケアセンター鷺沼・園長 栞原 なち子)


 子どもは絵本が好きです。絵本を読んでもらうのが大好きです。子どもたちにとっては、いろいろな体験が成長の源だと思っています。しかし、何でも体験できるものでもありませんし、無理に体験しなくていいこともあります。そして、疑似体験できるのが本の世界ではないでしょうか。園では、活動の節目や午睡前に絵本や紙芝居等を読んでいます。
 絵本の世界から遊びになっていく劇ごっこは、子どもたちの大好きな遊びです。初めは物語に沿って展開していきますが、次第に子どもたち独自の世界に広がっていきます。園行事で行われる生活発表会は、ふだん遊んでいるものの発表で、劇ごっこもその一つです。年中、年長組になると、ある物語を土台にはしているものの、保育者と一緒に考えながら配役をかえたり、自分たちの「大きくなったら」の夢や得意技などを一人一人が発表する場面を設けたりして、手づくりの劇へと発展させています。オリジナルの劇のでき上がりです。オリジナルなので、みんなで楽しそうに展開されていきます。もとの話は、「桃太郎」だったり、「オズのまほうつかい」だったり、子どもたちと決めています。
 私も子育て中は、寝る前に本を読んであげるのが日課になっていましたが、そんな長女も今では一児の母になりました。娘をひざに抱っこして絵本を読んでいるその姿を見ると、ほほえましく思います。
 絵本や物語は、うれしさ、悲しさ、驚きなど、さまざまな感情を共感させてくれたり、いろいろな世界へ連れていったりしてくれます。そして、より豊かな人に成長させてくれるものなのです。
絵本フォーラム46号(2006年05.10)より

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