私の絵本体験記

「絵本フォーラム」128号(2020年01.10)より

絵本で知る娘の「好き」

 小林 千華 (東京都)

絵本で知る娘の「好き」 子育てを始めて2年。私にとって、絵本の読み聞かせは「子育ての安心できる基地」のようなものになりました。
0歳の頃は、娘に絵本を読みながら、まだ知らない世界を紹介して、安心して生きて大丈夫だよと伝えていたように思います。そして1歳を過ぎ、歩き出した時、絵本で見ていた世界を実世界で確認して味わっているようで、娘はとても楽しそうでした。

  くまくん絵本の『いってきまあす!』(福音館書店)の「しんごうがあかですよ」のページが好きになり、横断歩道で信号を見ながら「赤で止まる、青で渡る」を夢中になって45分も繰り返したことがありました。また『はっぱのうえに』(福音館書店)の絵の美しさに1歳児がうっとりして、てんとう虫が大好きになり、散歩中カラスノエンドウを見つけると、てんとう虫を真剣に探し、見つけると大喜びしたこともありました。

  絵本が娘の「好き」を教えてくれました。娘の喜ぶ顔が見たくて、毎日絵本を何度も何度も読み、好きな絵本が一冊また一冊と増えていく。その繰り返しが心地よい時間となり、私たちは親子になってきたのだと思います。これから娘が何に興味を持って夢中になるのか、その変化を見つけて、私がその環境を整える。それができるのも絵本の読み聞かせの時間があるからです。

  「よんで!」と娘が持ってくる限り、また「もう一回」と言ってくる限り、思う存分、娘に読み聞かせをしたいと思っています。これからどんな絵本を娘が持ってくるのかとても楽しみです。
(こばやし・ちか)

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