私の絵本体験記

「絵本フォーラム」120号(2018年09.10)より

「人生のピンチにはいつも絵本が」

 青田 宏枝 (大阪府池田市)

あおた ひろえ 「おめでとうございます。双子ちゃんですねー!」妊娠直後に判明したお腹に宿った二つの命。戸惑いと不安を抱えたまま悪阻地獄に突入し、出産するまでほぼ寝たきりで過ごしました。こんな生活、もう耐えられない。弱音を吐く私に先輩ママがプレゼントしてくれた絵本が『わたしがあなたを選びました』(主婦の友社)です。あまりの体調の悪さに挫けそうな時は何度も読み返し、赤ちゃんも頑張っているのだから私も耐えなきゃと必死で妊娠期を乗り越えました。待望の我が子に出会えた喜びも束の間、壮絶な双子育児が始まりました。交互に起きるため毎日続く睡眠不足。一人が病気をしたら、もれなくもう片方にも感染し長引く看病。心身共に疲れ切っている時、義姉が贈ってくれた『ちいさなあなたへ』(主婦の友社)を読んで、この大変な時期は永遠ではない。親から巣立つまでは最大限の愛を注ごうと心に決め、何とか乗り越えてきました。

 それから4年。息子達は明るくやんちゃな子どもに成長しました。今私が一番幸せに感じる時は寝る前の読み聞かせの時間です。私の両隣りにぴたっと寄り添い、今日は何の本? と言いながら嬉しそうに寝そべる息子達。真剣な眼差しで聞いたり、二人でけらけらと笑い声をあげたり、そんな姿が愛おしくてたまりません。

  辛い時に何度も助けられ、そして息子達とのかけがえのない時間を与えてくれる絵本は私の宝物。これからも親子で絵本の世界を堪能し、共に成長できたらいいなと思います。
(あおた・ひろえ)


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