私の絵本体験記

「絵本フォーラム」120号(2018年09.10)より

「ももたろう」

高田 美希 (東京都杉並区)

たかだ みき わが家の長男が三歳の頃、半年程続くももたろうブームがありました。毎日のように絵本を読んですっかりお話を覚えてしまうと、次はももたろうごっこが始まりました。ちょうど体も思うように動かせるようになってきた頃。そして、かっこいいヒーローへの憧れ!そんな時期と重なって、ももたろうはとても魅力的だったようです。  

 私がおばあさん役になり「川で洗濯をしましょ」というと「どんぶらこ~どんぶらこ~」と桃になった長男がやってきます。おじいさんのように「おいしそうなももじゃ、きってみよう」というと、「おぎゃーおぎゃー」と長男が顔をあげ、手を伸ばし桃からうまれます。鬼退治に行くくだりになると当時一歳の次男も参戦!「じゃあ桃次郎だね」と長男と笑いました。「では、おじいさんおばあさん、いってきます」という長男にわざと大げさに「いかないでおくれ~」と言ってみると、「いや! どうしても鬼をやっつけるんだ!」ときっぱり言われた時は、我が子ながら逞しさを感じました。また、何度もやるうちに、お供が犬や猿から恐竜になったり、ロボットになったり!!

  お話の世界で体と心を自由に使い遊ぶ姿を見ると、あぁ、このお話がすっかりこの子のものになったんだなぁと感じました。ももたろうごっこで演じた勇気や楽しさや優しさが、心の中に染み込んでいってくれるといいなと願っています。
(たかだ・みき)


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