私の絵本体験記

「絵本フォーラム」119号(2018年07.10)より

「絵本は子育ての強い味方」

岸 春江 (北海道札幌市)

岸春江 現在9歳(小4)の娘がいます。私が子育てで一番悩んだのは1歳で断乳した後の“寝かしつけ”でした。当時「早寝早起き朝ごはん」が盛んに提唱され、それに賛同していた自分がいた半面、はじめの「早寝」でつまずく母親だったのです。

  夜になっても寝てくれない娘。私はまるでダメ母のレッテルを貼られているかのような気がして焦り、毎晩泣きました。そんな時、出会った絵本が『おやすみなさい コッコさん』(片山健/さく・え、福音館書店)です。夜になっても《ねむらないもん》と意地を張るコッコさん。その姿が我が娘と重なり、「もっと起きている時間を楽しみたい」と言わんばかりの姿に愛おしさを感じました。

 早速買って帰り、ベッドで読み聞かせスタートです。私は娘が「おんなじ!おんなじ!」と喜んでくれると思って読みました。ところが、彼女の反応は違いました。どうだったと思いますか? 読み終わるころには「スーッ」と寝息をたてていたのです。「まだ寝たくない」。そんな気持ちを代弁してくれたコッコさんに共感して安心感が得られたのかもしれません。

 それからというもの、この絵本は寝かしつけの時には欠かせない大事な一冊となりました。絵本は子どものためのものだと思っていた私。しかしこうして、子育てを助けてくれる魔法の一冊にもなる事を知りました。娘への絵本の読み聞かせは、現在も実践中です。赤ちゃんの時とは違った反応を楽しみながら、今でも親子でくっつく大切な時間となっています。
(きし・はるえ)

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