えほん育児日記
〜絵本フォーラム第118号(2018年05.10)より〜

『えほんや なずな』と我が孫

 

山本 けい子(絵本講師)

 『えほんや なずな』は、茨城県つくば市竹園の雑居ビルの奥にある小さな書店です。今年10月に2周年を迎えます。『えほんや なずな』にはスタッフとして、店主の藤田一美さんはじめ4人の絵本講師がいます。そして、各地の絵本講師をお招きして絵本講座を開催しています。どなたもそれぞれの個性あふれる絵本講座を展開していて、参加する度に新たな気づきがあります。これからも「えほんや なずな」で多くの絵本講座を開催していけるよう、皆で頑張っていきたいと思っています。

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『えほんや なずな』の活動は、そればかりではありません。月に一度のお話し会。2ヶ月に1度の大人の為のお話し会。大型書店内のコーヒースペースでお話し会をすることもあります。書店の規模は違っても地域の読書環境を良くすることに貢献したい、読書文化を盛り上げていこうという気持ちが一致しての催しです。読み聞かせボランティアの活動を長く続けてきた私には、これまでの経験を活かせる嬉しい時間です。

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 また、「絵本の井戸端」と称して、月1度、テーマを決めての、絵本にまつわるおしゃべりの会も始まりました。ことに楽しみなのは、スタッフ研修です。翻訳家、絵本作家、語り部、児童文学研究家、起業家、絵本作家のお母さんなどをお迎えして、お茶会を開いてきました。普段の生活ではなかなか知り得ない、創る立場の方々の貴重なお話を伺う贅沢な時間です。懇意にしている洋菓子店にお願いして、ゲストに合わせて作ってもらうオリジナルケーキをみんなでいただくのも、この会の大きな魅力です。

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山本 けい子  さて、『えほんや なずな』に遅れること、約1ヶ月。2016年11月に初孫が誕生しました。喜んでいたのも束の間、翌年2月に、孫が感染症で1ヶ月近くも入院という事態になりました。この時の恐ろしさといったらありませんでした。病状がやっと落ち着き、娘と交替で病室に泊まり込んでいた時は、生後3ヶ月の孫に絵本の読み聞かせや、お話の語りをして、「孫もり」の時間を何とか乗りきりました。

  その孫の最近の様子はといえば、絵本好きはますますパワーアップ。「こぐまちゃんえほん」は大好きで、新しいシリーズを見せた時など、続けて10回も読まされることも。 先日、『こぐまちゃんおはよう』(こぐま社)をプレゼントしましたが、「あっくん、絵本を開いたら中身がないので怒ってた。自分でビリビリに破いちゃったのに」と娘が嘆くのを聞いたからです。破かれたページはみな袋に入れて大事にとってありました。

  絵本の中の言葉で話しかけると、その絵本を持ってきます。「ありさんあついね、おみずをあげよう」と言うと、『こぐまちゃんのみずあそび』(こぐま社)を持ってくるといった具合です。まだ、言葉は少ないけれど、耳で聞いて自分の中に蓄えた言葉は沢山あるんですね。

 お気に入りの 『ちきばんにゃー』(学研プラス)は毎日読まされるそうですが、カエルのページでは、絵を真似して大きく手を広げて楽しそう。『くだもの』(福音館書店)では「さあどうぞ」で食べる真似をするようになりました。この前『やさい』(福音館書店)を読んであげたら、焼きいもの絵に口を大きくあけてかぶりつくようにしたのを見て、大笑い。最近焼き芋を初めて買ってもらい、大好物なんだとか。絵は食べられないとわかっていてもやっちゃうんですね。

 こんな風に絵本と楽しく遊んでいる孫を見ていると絵本講座で学んできとことが、まさに体現されているようで、ワクワクの連続です。ラインなどを通じて娘との会話も弾みますし、読み聞かせを通して孫の成長を確かめることができる喜びを感じています。『えほんや なずな』のお客様の絵本選びのお手伝いをするにも、孫との体験が大いに役にたっています。

  『えほんや なずな』と我が孫あっくん、共に健やかに成長してほしいと願ってやみません。
(やまもと・けいこ)

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