「ママ、本屋さん行こうよ」と図書館の前を通るたびに5歳と2歳の息子にせがまれます。そして本棚から思い思いの本を手に取り、あっという間に借りる本の山ができあがります。私の目にとまる本はいつも私自身が子どもの頃に母に読んでもらった本ばかり。

　大きな木がモチモチの木に見えるんじゃないかとドキドキした夜の庭の風景、ふきまんぶくを探しながら歩いた小径の景色やひんやりとした空気の感覚……。

　表紙を見た瞬間やある言葉に、子どもの頃の記憶がふっと甦ることがあります。そしてその記憶は懐かしくて暖かいのです。息子たちと絵本を読みながら「私もたくさん絵本を読んでもらっていたんだな」と今更ながら気づかされ、絵本のおかげで彩り豊かな日々を過ごしてこられたことに感謝しています。

　そして、今「うさこちゃんの本があったよ！ミッフィーじゃなくてうさこちゃんだよ！」と電話をかけてきたり、「だるまちゃんとてんぐちゃんだよ！」とぬいぐるみを送ってきたりと、母もまた孫の絵本を選びながら、私や弟と共に絵本を読んだ時間を思い出しているのでしょうか。

　 「ママもむかしこの本読んだ？」と聞かれて、「読んだよ」と答えると嬉しそうな息子たち。彼らが成長してこの手を離れた時に、絵本を一緒に選んだことや共に読んだ時間を思い出してくれたら……。記憶の中の風景が彼らの心の支えになってくれる、そして私にとっての宝物にもなると信じて、明日からまた息子たちとの絵本の時間を楽しみたいと思います。

（つかこし・まい）