えほん育児日記
〜絵本フォーラム第117号(2018年03.10)より〜

「絵本講師・養成講座」からの贈り物

 

山 洋子(芦屋11期)

高山洋子 絵本講師 絵本講師になって家の中に絵本がたくさん増えました。その絵本から元気なエネルギーをもらっているような気がしています。夕食の後、家族に絵本を読んだり読んでもらったり、感想を言い合ったりと家庭の中に絵本がある暮らしを楽しんでいます。「絵本講師・養成講座」を受講する前にはなかったことです。

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 私が結婚して母親になったばかりの頃、まだ母親になる心の準備ができていませんでした。夫は船員という職業柄、家にいないことが多かったので、近くに住んでいる両親に協力してもらいながら子育てをしていました。もちろん両親には、感謝をしていましたが、母親としてどう子育てをすればいいのか、と子育ての本を読んだりして答えを探していました。

 子どもの個性を大切にと思いながらも、まわりの子どもたちに遅れないように早く勉強をさせて、良い成績をとらせるようにすることが子どものためになることだと思っていました。子どもが立派な学校に入って、立派な就職をして立派な結婚をするようにサポートすることが親の務めだと信じていました。絵本に関しても心が和んで楽しかったのですが、早く子どもが、自分で本を読めるように字を教えなくてはいけないと感じていました。

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 子育てを終えて子どもに関わる仕事をするようになった時に、「絵本講師・養成講座」に出会いました。松居直さんの講座で絵本は大人が子どもに読んであげるものだと知り、お父さまであるご自身も子どもに十年絵本を読み聞かせをされてきたお話もお聞きしました。親子の絆や想像力、自己肯定感も育てていける「絵本の力」や読み聞かせの力に衝撃を受けました。私の絵本への信頼感が深まると子どもたちへの絵本の伝わり方も深まり保育園の子どもたちとの絵本の時間がとても楽しいものになっていきました。家族も「絵本の力」に共感してくれるようになり夫は、仕事の休みには、絵本講座やお話し会に一緒に絵本を運んでくれたり、絵本を並べてくれたり、手伝ってくれるようになりました。絵本について学んだことで思いがけない楽しい気づきが増えてきたように思えます。絵本講師の活動が広がる中、もっと楽しい気づきを増やしたくて第14期「絵本講師・養成講座」を再受講しました。

 会場に入ると初めての受講の時のように絵本講師の方々が迎えてくださる温かさに気持ちがほぐれ、同じグループの皆さまとの絵本を交えたお話しに新鮮な気持ちになりました。

 講座が始まると真険な空気に包まれてあっというまに時間が過ぎました。先生方の言葉に涙あり、笑いあり……。初めて受講した時以上の感動の体験となりました。今回の再受講で、子どもを支える子育て中のお母さんやお父さん、大人の方々に絵本の力や読み聞かせの力を知っていただきたい、と今まで以上に確信が深まりました。

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 今年五月に初孫が生まれます。娘に絵本のことを伝えられた、間に合ったなと思っています。「生まれてくる子どものために子どもが愛されていると感じられるように愛を伝えてあげてね」と話しますと早速娘から嬉しい報告がありました。夫婦でおなかの子どもに絵本を読んであげているのだそうです。そしてなんと飼っている三匹の犬たちもソファーで寄り添って静かにお話しを聞いているのだそうです。

 微笑ましい光景を思い浮かべながら「絵本講師・養成講座」からの贈り物に心から感謝をしています。この講座に出会えて私の人生は明るいものになりました。この喜びをこれからも多くの人に伝えていきたいと思います。

(たかやま・ようこ)

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