おすすめ絵本

「絵本フォーラム」第103号(201511.10)








タケノコごはん

『タケノコごはん』 大島渚/文
伊藤秀男/絵
ポプラ社

 さかいくんは、ケンカの強い朗らかな子でしたが、戦争でお父さんを失ってから弱い者いじめをするようになりました。けれども、色の白い優しい男の先生が宿直の日には、さかいくんも「ぼく」も宿直室で楽しく過ごしました。ある日、先生が戦争に行くことになり、みんなで先生の家を訪ね、タケノコごはんをごちそうになりました。さかいくんは、「先生、戦争なんかいくなよっ」と言いました。著者が息子のために書いた文が元になった絵本。
(税込価格1404円)


町にながれるガブリエラのうた

『 町にながれるガブリエラのうた』 
キャンデス・フレミング/作 ジゼル・ポター/絵 
こだまともこ/訳
さ・え・ら書房

 ヴェネチアに住むガブリエラがお使いから帰っていると、お母さんの「はやく かえっておいで」という声が聞こえ、それが町の音と一緒にガブリエラの胸の中でまじりあって一つの歌になりました。その歌はガブリエラから町の人々へ伝わり、作曲で苦しんでいるジュゼッペさんの耳にも入り、ジュゼッペさんはその歌を元にすばらしい交響曲を作りました。町全体が音楽で満たされる喜びが、人々の体や顔の表情から伝わってくる絵本。
(税込価格1620円)









おねえちゃんにあった夜

『おねえちゃんにあった夜』
シェフ・アールツ/文 
マリット・テルンクヴィスト/作 
永山さき/訳 
徳間書店

 ある日、「ぼく」は死んだおねえちゃんの声を聞きます。おねえちゃんは、夜に迎えに来て、二人で自転車に乗って森を抜けて空を飛んで月に近づこうとします。それから、おねえちゃんのお墓に行って、ボートに乗って鳥の形のお菓子を食べます。そして二人は家に帰って一緒に眠り、「ぼく」は一人で目覚めます。「ぼく」が写真でしか見たことのなかったおねえちゃんの死を受け入れる過程が奥行きのある空間を描いた絵で表現されています。(税込価格1836円)


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