私の絵本体験記

「絵本フォーラム」101号(2015年07.10)より

絵本の不思議な力

笹川 直子さん(兵庫県宝塚市)

笹川 直子さん体験記"

 昨年、「夏休みから学童保育のクラスで月1回の絵本の読み聞かせをして欲しい」との依頼をいただきました。私は喜んでお受けし、選び抜いた数冊の絵本を抱えて半年間通いました。

 時間に余裕のある夏休みの期間はまだしも、2学期は下校時刻までの限られた時間の中で、子どもたちは宿題を済ませ、外遊びを楽しんだり、おやつを食べたりと、結構忙しいのです。スケジュールのどこで読み聞かせタイムを確保できるか、思案します。

 それと、子どもたちの世話をするメンバーの考え方は様々で、「子どもは外遊びで発散させる方が良いし、絵本を強制的に読み聞かせるのは、どうかと思う」と主張するメンバーもいます。私は経験上、子どもたちは絵本の読み聞かせを楽しんでくれると思っていましたから、その主張に唖然としてしまいました。そのメンバーに、読み聞かせをしている所に同席してほしいと思いつつ、その機会がないまま12月の読み聞かせの日が来ました。

  私が選んだ絵本は『子うさぎましろのお話』(ささきたづ/文、みよしせきや/絵、ポプラ社)でした。長年クリスマスの季節になると、幼稚園や小学校で、心を込めて語ってきた絵本です。読み始めると直ぐに全員の子どもたちが固唾をのんで、ましろのストーリーに聴き入ってくれました。まるで魔法にかけられたようでした。

  私は、絵本は子どもと同様に大人をも魅了する不思議な力をもっていると改めて確信しました。
これからも絵本の力を信じて、子どもたちと幸せな時間を紡いでいきたいと思っています。

(ささがわ・なおこ)

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