私の絵本体験記

「絵本フォーラム」101号(2015年07.10)より

娘と絵本と私

樋口 明美さん(東京都西東京市)

樋口 明美さん体験記"

絵本は子育てに良い。そう聞いていた私は何でも良いのだろう、と自分好みの本や「〇〇が泣いた」「母と子の為の365話」「赤ちゃんも喜ぶ」などの帯が付いた絵本を読み聞かせていました。しかし涙もでず、面白みを感じられずにいた私は、「自分はひねくれているんだなぁ。子どもの絵本って何が良いのか意味が分からないなぁ」と疎外感をもちつつ、「早く寝てくれ~」とイライラしながら読んでいました。

 ところが今ではどうでしょう。5歳になった娘と私は、夜になると少しでも絵本の時間を長くする為に、早く寝室に行こうと必死になるのです。そして……

娘「今日は何冊読んでくれるの?」

私「んー。遅くなったから2冊かなあ」 娘「え~。3冊じゃないの!!じゃあ、これとこれ」

私「お母さんは、こっちが良いなぁ」

娘「ほーちゃん(娘の名)は、これとこれなの」

私「こっちも読もうよ」

娘「(ニヤニヤしながら)じゃあ3冊だね」

と、いうやり取りが行われるのである。もちろん本棚には私が選び抜いた(と言えるはずの)本しかないのでどの絵本も面白いのですが……。どうやら娘よりも私が絵本の世界にのめり込んでしまい、読まずにはいられなくなってしまったのです。

  お母さんの声は金の鈴と言うけれど、子どもと一緒に読む楽しさに気がついたのです。思いがけない場面で反応する不思議さ、絵本に集中しているまなざしの真剣さ。何にも代えがたい大切な時間なのです。私と娘の絵本体験は始まったばかりです。これからどんな絵本に出会えるのか!ワクワクしています! 。

(ひぐち・あけみ)

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