おすすめ絵本

「絵本フォーラム」第34号(2004.05.10)








『麦の穂』
(ウクライナ民話/ラチョフ・シリーズ2 エヴゲーニイ・ラチョーフ/絵 田中潔/訳 ネット武蔵野)

 めんどりがパンを焼くのにネズミに手伝いを頼むが断り続けられる「麦の穂」、ネコが長靴を買いに行ってキツネにつかまりそうになる「長ぐつを買いに」など、ウクライナの民話が4編収められた絵本。『てぶくろ』(福音館書店)で有名なラチョフが、ウクライナの文化を感じさせる極人化された魅力的な動物を描いています。
(本体1300円)

『うしとトッケビ』
(イ・サン/文 ハン・ビョンホ/絵 おおたけきよみ/訳 アートン)

 トルセは、身よりがなく、一頭の牛を何より大切にしている薪売りの若者です。ある日、しっぽを犬にかまれたトッケビに出会い、もし、トルセの牛のお腹の中に2ヶ月いさせてくれたら、牛の力を10倍強くすると言われます。ところが、2ヶ月たつとトッケビはお腹の中で大きくなりすぎてしまいます。牛の絵が魅力的な韓国の絵本。
(本体1500円)







『ペドロの作文』
(アントニオ・スカルメタ/文 アルフォン・ルアーノ/絵 宇野和美/訳 アリス館)

 1970年代のチリ。ペドロの両親は毎夜、ラジオを聞いて心配そうにしています。ある日、ペドロのサッカー友だちのダニエラの父親が独裁政権に反対したという理由で捕らえられました。数日後、ペドロの学校に軍人が来て自分の家族の夜の生活の様子を作文に書くようにと言います。独裁政権下の息のつまるような様子が感じられる絵本。
(本体1300円)

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