「絵本の読み聞かせが心を育てる」
第14期「絵本講師・養成講座」大阪会場第5編が2017年12月16日(土)、CⅠⅤⅠ研修センター新大阪東にて開催されました。
午前は、森ゆり子理事長の絵本講座です。一語一句聴き洩らすまいと、受講生の皆さんは真剣な眼差し。その硬い空気を和ませるように『ちびゴリラのちびちび』の読み聞かせから始まりました。
『いいこってどんなこ?』の読み聞かせに続いて、日本の子どもたちの自尊感情が低いというデータを示され、子育てでほめることが少ない現状を皆で再認識しました。そして、渡辺久子氏の著書『抱きしめてあげて』の中の事例から、子どもは親に丸ごと受けとめてほしいと思っていて、子どもが求めてきた時にはしっかり甘えさせてあげることが大切である、とお話しされました。親が絵本を読み聞かせる時、子どもは五感すべてで受けとめているのです。絵本の読み聞かせは子どもに愛を伝える行為に他ならない、というお話に皆さん納得の表情でした。
また、昨今の想像力を欠いた子ども達の事件をいくつか取り上げられ、知識や情報ばかりでは心が育たない、心を揺り動かされながら覚えることばが心を育てると語られました。「人として大事なことは全て絵本が伝えてくれる」という松居直氏のことばと、「すぐれた絵本を子どもに読むということは人生の灯台に灯をともすこと」という松居友氏のことばを紹介され、多様なジャンルのよい絵本を読み聞かせる重要性も示してくださいました。
読んでいただくと、『わたしのいもうと』や『さっちゃんのまほうのて』の絵本のことばが静かに深く私たちの心に染みわたります。絵本の力と共に、語り手の思いが届く生の声の力を感じさせられた時間でした。
午後は、片岡直樹氏(小児科医・川崎医科大学名誉教授)の講演です。別府真琴氏の著書『自閉症スペクトラムの謎を解く』をご紹介くださり、話ことばは親子間の応答的環境下で自然に出てくるものであり、知識として大人から教わる読み書きことばとは違うと説明されました。話ことばを獲得する幼児期には、子宮の中のような静かな環境で親の声が聞こえることが大切であること。また、テレビを見たりゲームをしたりする時には心の理論を司る脳の前頭前野は働かないが、絵本を読んでもらう時には脳全体が活動している、ということを教えていただきました。小児科医である先生からも、絵本の読み聞かせが子どもの心の育ちに良いことを教えていただき、絵本に関わる者として嬉しくなりました。
大西徳子さん(芦屋6期)から「はばたきの会」の紹介、藤井勇市専任講師から講座の学び方について幾つかコメントがあり、
大長咲子副理事長から最終課題の記入方法について説明があった後は、お待ちかねのグループワーク。
講演内容や最終課題リポートについて話し合ったり、絵本の紹介をし合ったり、終了時刻まで会場いっぱいに話し声と笑い声が響いていました。
いよいよ次回は閉講式です。きっと皆さん晴れやかな笑顔で臨まれることでしょう。
(たもと・ゆきえ)
(たもと・ゆきえ)
(会場風景)
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