絵本講師養成講座

報告者
岡部 雅子
芦屋2期
岡部 雅子
第3編 〜 絵本講座について 〜
2017年09月30日(土)飯田橋レインボーホール
主催:NPO法人「絵本で子育て」センター
協賛:アリス館・岩崎書店・偕成社・金の星社・こぐま社・鈴木出版・童心社・福音館書店

司会 大久保広子 第14期「絵本講師・養成講座」東京会場第3編が、爽やかな秋晴れとなった2017年9月30日(土)、飯田橋レインボービルにて、開催されました

 午前の部では、評論家・エッセイストの飫肥糺氏に「いま、ことばがあ講演 飫肥糺氏ぶない!! 〜子どもたちととりもどしたい、ことばのかずかず〜」と題してご講演いただきました。大人たちが使う言葉には、大きなうそと小さなうそがあり、日常の人間関係の潤滑油として小さなうそをつくことがあります。厄介なのは大きなうそで、政治家たちの言葉に周囲が同調して大きなうそが蔓延している政治の現状を指摘されました。こうした世の中の動きに大人がどう向き合うか、語られていないことを読み取ること、また子どもたちとのほどよい関係の持ち方について絵本から学べることを紹介してくださいながら、大人には流されないための思考とそのための努力を続けることが必要ではないかとの問題提起をされました。受講生たちは、柔らかな色彩の絵と先生の語りの余韻に浸りながらも、真剣なまなざしでメモを取っていました。

講演 とよた かずひこ氏 休憩をはさみ午後の部は、絵本作家のとよたかずひこ氏の講演「でんしゃにのってももんちゃんがやってくる〜自作を語る〜」から始まりました。大型の手作り絵本や紙芝居の読み聞かせを交えた、先生の巧みなトークに会場は始終笑いに包まれていました。

 先生の制作スタイルは、過去の作品を振り返らず、ボツになった作品は手直しせず放置して、生活の中でアイデアを思いつくのを待つのだそうです。日々の体験を取り入れて吸収して消化していくと、時を経て作品に昇華させることができるそうで、幼いころ祖母が語ってくれた弁当売りのお話や、子育て中に娘と電車を見に行った西部新宿線の踏切、三角ベースをして遊んだ少年との再会などの思い出をいとおしそうに話してくださいました。

 また、子どもが同じ絵本を何度も読んでと言うのは、ストーリーを知ってる絵本を信頼する大人に読んでもらうのは心地よい体験だからで、読んでもらった本のことは忘れてしまっても子どもの心に何かが残る。絵本作家は記憶に残らない人々(子ども)に向けて作っている。作家の手を離れたら作品は読み手のものになるので、読む大人がくすっと笑えて楽しめる絵本を作りたいと、ご自身の想いを語られたのが印象的で、絵本作家としての矜持を感じました。

講義 池田加津子

 つぎに、「絵本講師・養成講座」の学び方についてでは、著作物の利用の際の「絵本で子育て」センターの考え方や注意点について池田加津子理事より説明がありました。これから絵本講座や読み聞かせ会を開催する受講生にとって押さえておきたい事ですので、後の講座風景グループワークでは、具体的な例をあげながらの質問が出ていました。 私がオブザーバーとして参加したグループでは、読み聞かせについて体系的に学んだ上で活動をしたいと真摯な姿勢を持つ方々が、それぞれの立場から意見や考えを言い合い知恵を伸ばそうと取組んでいました。

 

第3編も、学ぶ悦び、共に学ぶ仲間がいる悦びにあふれる受講生たちの熱気で会場はいっぱいでした。

 

 

(おかべ・まさこ) おかべ まさこ


第14期東京第3編 講座風景
第14期東京第3編 講座風景

第14期「絵本講師・養成講座」
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