絵本講師養成講座

報告者
報告 坪内ひとみ
芦屋12期
多本 ゆき枝

第3編 ~ 絵本講座について ~

2016年08月27日(土)芦屋ラポルテ・山村サロン
主催:NPO法人「絵本で子育て」センター
協賛:アリス館・岩崎書店・偕成社・金の星社・こぐま社・鈴木出版・童心社・福音館書店

絵本が語る「当たり前のこと」に耳をかたむけた日

 

むのたけじ氏 書籍一覧 第13期「絵本講師・養成講座」芦屋会場第3編は2016年8月27日、猛暑から一変、秋を感じさせる涼しい風が吹くなか、芦屋ラポルテ・山村サロンで開催されました。

 はじめに、司会の加藤美帆さん(芦屋3期)の呼びかけで、8月21日に亡くなられたむのたけじ先生を偲ぶ時をもちました。4月にご講演された先生の熱く力強いお声が耳に聴こえてくるようでした。

 午前は、飫肥糺氏の講演「絵本で考える生き方の知恵」です。昨今の若い人たちの犯罪に触れ、「環境は子育てに影響する」というお話で始まりました。

  「絵本には、人としての生き方や、肌の色も体の大小も関係なく美しい海や空を見たら嬉しいと感じることな講演 飫肥糺氏ど、世界共通の『当たり前のこと』が描かれている。子ども達には『当たり前のこと』を何百回も示さないと伝わらない」と語られ、ウンベルト・エーコの絵本を紹介してくださいました。科学技術は本当に人を幸せにするのか、我々は振り回されていないか、何が一番大切なのか、を考えさせられました。

  また、有名な画家を取り上げた絵本を紹介してくださり、「突出した芸術家は直感的に自然と向き合う力を持っている。人間は科学的・理論的であるだけでは駄目で、五感を正しく働かせる力が必要だ」とおっしゃいました。私たち絵本講師は「感じる力」を大切にし、絵本が語る「当たり前のこと」を子ども達に何度も何度も届けなければなりません。

講演 とよたかずひこ氏 午後は、とよたかずひこ氏の講演「でんしゃにのってももんちゃんがやってくる―自作を語る―」でした。まず、JR神戸線で前から気になっていた折り畳み座席にやっと座れたというお話に、会場一同大爆笑。和やかな雰囲気の中、『でんしゃにのって』(アリス館)の読み聞かせ。この絵本は、作った当初物足りない気がしたけれど、出版後は子ども達の支持を得て増版になったそうです。「『ぞうだー、ぞうだー』のあとには、ちゃんと『ぞう』が出てくる、そんな安心感を乳幼児は求めている。だから、絵本のお話は日常を切り取った保守的なものであるべきだし、何度も同じお気に入りの絵本を読んであげてほしい」と語られました。

 

 そのあと、藤井勇市専任講師から、「多くの新聞がスポーツ紙化したオリンピック報道に、原発再稼働や沖縄講演 藤井勇市問題は隠されるがごときだった。国は戦争被害・災害にあった人々を『棄民』し始めている。政治に関心有る無しにかかわらず、政治はわれわれの生活に影響する」という厳しいお話がありました。絵本講師として何を考え、何をなすべきなのか、一人一人に大きな課題をいただきました。

 そして、大長咲子副理事長から「読み聞かせ団体等による著作物講義 大長咲子の利用について」の説明があったあと、グループワーク。三回目ともなると皆さん活発に意見交換され、あっと言う間に終了時刻となりました。世の中の動きについても、絵本についても、勉強すべきことが沢山ある、と気を引き締めた一日でした。

(たもと・ゆきえ)

 


会場風景

(会場風景)

 

第13期「絵本講師・養成講座」
★芦屋会場リポート 第1編/第2編/第3編/第4編/第5編/第6編
★東京会場リポート 第1編/第2編/第3編/第4編/第5編/第6編