「絵本講師・養成講座」東京会場第2編リポート
ことばの力を信じて
第13期「絵本講師・養成講座」(東京会場第2編)は7月23日(土)、地元では聴くことのできないセミの大合唱がこだまする飯田橋・レインボービルで開催されました。
午前の部・松居直先生のご講演は、DVD視聴にて行われました。2010年芦屋会場での録画です。私は今まで4回松居先生のご講演を拝聴していますが、毎回新たな発見があり驚きます。
日本の絵本のルーツは12世紀の『鳥獣戯画絵巻』といわれていること、この稀な文化を後世に伝えていかなければという松居先生の思いが強く伝わりました。作品が世界的にも高い評価を得ているスタジオジブリの高畑勲氏は、日本の絵巻だけでなく能や狂言などの伝統芸能をよく研究され作品に取り入れているそうです。もちろん、松居先生が手がけた多くの絵本にも、絵の構図や言葉の使い方に日本の良き文化が取り入れられています。例えば、『三びきのやぎのがらがらどん』(福音館書店)の言葉は、瀬田さんが見事な五七調で語られており、それは日本語の「調べ」であること。アメリカ本国より日本で数多く販売されている理由は、言葉が子どもに働きかける力を持っているからだと語っておられました。私たち絵本講師も、言葉の力を信じて言葉を子どもたちに届けていきたいものです。
午後は、講座の専任講師である藤井勇市氏の講演です。「子どもに絵本を届ける大人の心構え」と題して、絵本講師として絵本を子どもに届けるためには、社会状況によく目を向け知ろうとする意識が大切であるとお話されました。午前の松居先生のお話「20世紀はお金と物の時代だった。それは今でもどんどん進み精神的な文化が弱体化して、お金と物にはない命が疎かになっている」という話しに触れられ、その傾向はどんどん強くなり、また激しく変容していると語りました。
特に、現代では三つの「ない社会」であり(大人のいない社会、自分がいない社会、創造(想像)力のない社会)、その時代で生きる子どもたちに、身近な大人である私たちは何を意識すればいいのか、子どもが一番はじめに出会う社会である「家庭」では何を大切にしたらいいのかという藤井専任講師の問いに対して、私たちは大きな宿題を出されたように感じます。
本編のグループワークでは、講座の中で唯一テーマのあるワークです。『いない いない ばあ』(童心社)を東京7期の中田朋子さんが読んでくれた後、この絵本が各グループに配られました。一人ずつ『いない いない ばあ』を読んだのち、この絵本について、またその他の話題についても各グループで様々な意見が飛び交いました。
次回9月にまた元気に皆さんとお会い出来ることを楽しみにしています。
(かわぐち・ゆみ)
第13期 第2回 東京会場風景
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