「絵本」というキーワードの下に
新しいつながりが生まれた日
第13期「絵本講師・養成講座」(芦屋会場)は平成28年4月23日(土)、花水木が春の日差しに輝いている美しい朝、芦屋市山村サロンにて開講しました。
受講生の皆さまが着席すると、1年間の講座へのそれぞれの緊張感が静かに伝わる中、加藤美帆さん(芦屋3期)の司会で開講式が始まりました。
はじめに、森ゆり子理事長より挨拶があり、1期から12期までの12年間で1400人の絵本講師の方々が各地で活躍されていること。日本中どこでも「街を歩けば絵本講師に当たる
というくらいに当講座で学んだことを伝えたいという人の輪が広がれば、ひとりひとりの小さな力も世の中を変えていく力となっていくのではないかと思う。ご縁あって集まった皆さんと1年間緊張しながらも楽しく学んでいきたい、と述べられました。
続いて来賓の皆さまより祝辞をいただきました。
栗本優香さん(芦屋8期)からは、「自分も5年前の開講の日は、どんなことを学ぶのだろうと緊張と不安とわくわくした気持ちでした。現在児童館などで講座をするとき、養成講座での1年間の学びが自分の力となっていることを感じます。実り多き1年となりますように」。
後藤純子さん(芦屋4期)からは、「さまざまの疑問をもって講座に来ていたのが、回を重ねるうちに講師の先生の言葉を一言も逃さずに記憶にとどめたい! という強い気持ちになりました。立場の違う方々とのグループワークも充実した交流の機会となり、毎回自分でしっかり考えてリポートを書いたことは、今は自分の仕事に活かせています
」。
はばたきの会副会長の大長咲子さん(芦屋1期)からは、「皆さんはこれから1年間、『はらぺこあおむし』のようにばりばりと食べてたくさんの学びを自分の中に取り込んでいってほしい。途中あおむし君のように消化不良になって悩むときには何でも相談をしてください、1年後にはきっと美しい蝶となってはばたかれることと思います。共に学びましょう」と激励されました。
先輩絵本講師の優しい笑顔と歓迎の言葉に、会場内の緊張が少しずつ柔らかな期待に変わっていく中、こぐま社の吉井康文氏は『ようこそ、絵本講座へ』と祝辞をくださいました。「絵本は楽しむもの。こぐま社は今年50周年。その歩みの中で289冊の絵本を中心にした本を出版し、そのうちの180冊が今でも流通している。『11ぴきのねこ』は来年で初版から50年。この50年で時代や子ども達の環境は大きく変わったが、子ども達は同じ絵本を変わらず受入れ楽しんでいる。そのことを6月(吉井氏は第2編の講師です)にお話したい」。そして、3月に出版された『ぞうさん』(まどみちお/し、にしまきかやこ/え、こぐま社)を紹介してくださいました。
式の緊張感を残した会場では、続いて初めてのグループワーク。
今日が初対面の受講生の皆さまも、自己紹介でそれぞれに「絵本講師・養成講座
に申し込まれたきっかけや講座への期待をお話され、グループでの役割決めの後は昼食の間も和やかにお話が弾んでいました。
午後はジャーナリストむのたけじ先生をお迎えし、『絵本とジャーナリズムについて』の記念講演です。
先生は今年101歳。「絵本で子育て」センターで初めてご講演をいただいてから4年になりますが、「皆さんの物事に対する誠実な態度に心惹かれて」と毎年ご講演くださっています。
幼児期の子どもについて考える時、親として人間としてただかわいい、大切に育てようというだけではなく、人生を左右する根幹をつくる時期。完全に一人の人間として大切に考えるべき、と話されます。そして絵本の歴史を解かれ、続いて、世の中がおかしくなっている殺伐とした空気の中、私たちは何を求めて生き続けていかなくてはならないのか、と力強く訴えられました。
戦争中に幼い娘さんを病気で亡くされた体験を語られ、戦争は人類がつくり出した最悪の何のためにもならないもの。人類は地球に居候している身。その身勝手で地球を壊してよいのか。絶対に戦争をおこさせてはならない。戦争をなくそう! 子どもを守ろう! との強いことばが一同の胸にずんと響きました。
そして、地球上に今人類は73億人。その中で「あなた
という人はただ一人。これほどかけがえのない貴重なものはない。命はひとつだけ、生きるのは一回だけ、自分に責任と誇りをもって、この「私自身
を育てなさい。そして、かけがえのないひとりとひとりとして、人は互いに敬い合い、学び合い、労り合う。人類の歴史を変える鍵は我々の中にある、そのことを確信しようじゃないですか、と力強く呼びかけられ、私たちは改めて大きく心を揺さぶられました。会場からは大きな賛同の拍手が湧(わ)き起こりました。
今年もむの先生にこうして会場でご講演をいただくことが叶い、心より嬉しく、先生のご健康を心よりお祈りいたします。
午後のグループワークでは、藤井勇市専任講師より、本講座の学び方についてのお話がありました。そのことを踏まえてのグループワークでは、むの先生のとても101歳とは思われぬパワーに圧倒されました、などの感想などが交わされました。
あっという間の一日。グループワークのための机の移動なども皆さんとてもスムーズで、「絵本」というキーワードの下に共に学ぶ仲間同志新しいつながりが生まれた初日となりました。心あたたかなつながりと学びへの緊張感をもって、今期も1年間、共に歩んでいきたいと思います。
(くまだき・かよ)
※翌24日の神戸新聞に本講座の記事が載りました。(以下)
©神戸新聞社
(講座風景)
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