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報告者
報告者 市川洋美
東京8期生
市川洋美
第5編〜 絵本講座をやってみよう 〜
2014年11月29日(土) 飯田橋レインボーホール
主催:NPO法人「絵本で子育て」センター  共催:ほるぷフォーラム社
協賛:岩崎書店・偕成社・金の星社・こぐま社・鈴木出版・童心社・福音館書店・ほるぷ出版・理論社

 第11期「絵本講師・養成講座」(東京会場)第5編が2014年11月29日(土)、飯田橋レインボーホールで開催されました。
 午前中は「絵本・わたしの旅立ち」と題した、故中川正文先生の講演がDVDで上映されました。  

 司会の方から、中川先生の紹介とともに、ところどころ聞き取りにくい箇所があるというお話がありましたので、皆さん耳をすませて熱心に聴いていらっしゃいました。
 絵本を仲立ちとした親と子ども(大人と子ども)の関係について、1冊の絵本を通して経験を共有することにより、親と子(大人と子ども)がともに成長していくことが基本的な関係であるから、思いあがった気持ちをなくすところから出発してほしい、とお話されています。
 ですから「読み聞かせる」「絵本を子どもに与える」などと言ってはいけない。人間が人間に文化を届ける時に使う言葉ではないということを、強調されていらっしゃいます。

 また図書館は、本の見本市のような所であり、自分に似合う本を選ぶことができるが、限られた時間しか付き合うことができない。自分の手元に本を置くということは、買ったという喜びを味わうことができ、好きな時にいつでも本が読める喜びであり、1冊の本と長く付き合うことができるとのお話には、そうだそうだと思わずうなずいてしまいました。
 そして、まるでいたずらっ子が宝物を見せてくれる時のように、豆本をうれしそうに取り出す先生の仕草やキラキラとした眼の輝き、「すみれ島」を読まれる時の命を大切にするとはどういうことか、平和がどんなに大切かという思いが伝わってくる温かい声に出会うたびに、目頭が熱くなってきます。

講義する藤井勇市専任講師 午後は、藤井勇市専任講師の「中川正文先生の思い出」「子ども(たち)に絵本を届ける大人の基本的な考え方」と題した講演です。中川先生との思い出では、初めて先生を訪問された時のことや、『きつねやぶのまんけはん』を出版された時のことなどを、楽しそうに懐かしそうに話されるのを聞き、私(市川=東京8期)は中川先生のお話を直接聞く機会を得られなかったことが、とても残念で仕方がありません。もっともっとたくさんのことを教えていただけたのでしょうから……。

 藤井専任講師も名残惜しそうにお話を切り上げられ、いよいよ私たち絵本講師の基本的な考え方についてのお話になりました。「絵本講師」の在り方と活動についてです。はじめに、「すみれ島」という絵本が将来なくなってしまうのではないかと危惧されており、今ほど危うい社会はないというお話から始まりました。日本が抱えているさまざまな問題に触れられ、きっと子どもたちから、「お母(父)さんは、あの時代何を考え、どう生きていたのか……」と問われる時がくるであろう、と話されました。絵本は社会の存在そのものに影響されるので、社会のことを考えずに、子どもに絵本を届けることはできません。ですから、日本・世界でどんなことが起きているのか、私たちはちゃんと見る目を待たなくてはならないということです。

サインする藤井勇市専任講師  次に三つの「ない社会」で生きる子どもたちはと題して、子どもたちを取りまく社会についてのお話がありました。・大人のいない社会 ・自分のいない社会 ・創造(想像)力のない社会 の中で生きている子どもたちに、絵本を届ける大人としての基本的な考え方を話していただきました。家庭の中で絵本を読む(届ける)ことは、演じることではなく、寄りそうことである。読む人は聴いている人に対して畏怖(人間に対する)と敬意(相手の知性に対する)を持っていなくてはならないとのことでしたが、一度聴いただけでは、あまり理解することができませんでした。詳しくは最新著書『子どもに絵本を届ける大人の心構え』を読んでくださいという宣伝もありましたので、くり返し読むことで自分のものとしていきたいと考えています。グループワーク風景

 グループワークの前に、最終リポートについての説明がありました。どのテーブルも、グループに参加した聴講生やスタッフに、リポート についての質問がたくさんされていたように思います。今日のお二人の講演を聴き、私のお話を聞いてくれる方たちや、絵本を届ける子どもたちに、そして絵本に対して真摯に向き合っているかどうか、改めて自分をふり返り考える機会をいただくことができました。 (いちかわ・ひろみ)

 

 

第11期「絵本講師・養成講座」
★芦屋会場リポート 第1編/第2編/第3編/第4編/第5編/第6編
★東京会場リポート 第1編/第2編/第3編/第4編/第5編/第6編