第10期「絵本講師・養成講座」閉講式は3月22日(土)、飯田橋レインボービルに於いて、執り行われました。東京に吹く風はまだ冷たく桜の蕾も固く閉じたままでしたが、降り注ぐ春の陽ざしが凛として明るく、受講生の皆様の新たな旅立ちにふさわしいものでした。
閉講式では、まず森ゆり子理事長より修了証書が受講生に手渡されました。
グループ毎に名前を呼ばれ最前列へ、グループのリーダーが代表して修了証を受け取ると「まわれ右!」をして会場の皆さんの方を向きます。ひとつのことをやり遂げた満足感と自信がどの顔にもあふれ、皆さん素敵でした。理事長からは、「絵本講師となられた皆さんが、蝶のはばたきのように竜巻を起こすことを願っています。これから、また一緒に学んでいけたら嬉しいです」という温かい励ましのお言葉をいただきました。
次に藤井専任講師の全体講評です。「最終レポートに感動した。学ぶということは人間を内面から美しくする。皆さん、一年前とは違う美しさを持っている。自分の個別の体験が説得力のあるものになる。講座を行うにあたっては、聴く人に対する敬意と畏れを持たなければいけない。絵本講師は、私たちのあとに続く子ども達、その子ども達のために、この國がどこへ向かっているのか学んで行く必要がある。気付いた時に『こんなはずじゃなかった』では取り返しがつかない。ひとつひとつの小さな事柄のなかから嗅ぎ取る力を持っているかがとても大切である」、と私たちが絵本講師としてあるべき姿勢を示唆して下さいました。
続いて祝辞です。服部貴子さん(芦屋7期)は、ご自身の絵本講座の体験から寄り添うことの大切さを話され、「100人100通りのリポートがあるので、その思いを伝えていって欲しい」とエールを送られました。
野口理英さん(東京6期)は、講座を開くことだけが絵本講師の役割ではない。自分のママ友や子育て、保育に関わっている近くにいる人達に伝えていきましょう。自分が絵本講師になったと宣言し、失敗を恐れず講座への第一歩を踏み出して欲しいと話されました。
太陽出版の籠宮敏治様は、難題のリポートをクリアした受講生の1年間の苦労をねぎらわれ、出版業界は17年連続のマイナス成長であるが絵本の世界は別で30年40年売れ続けているものがたくさんある、絵本講師として一人でも多くの本好きの子どもを育てて欲しい、と絵本講師への期待と励ましの言葉をくださいました。
その後、たくさんの祝電の披露があり、そのなかでとよたかずひこ先生は「読み聞かせ、読み語りは技術ではなく心です」。
飫肥糺先生からは「学びはまだまだ。わからないことを知ることが学びです」との温かいメッセージをいただきました。
午後は、梅田俊作先生、佳子先生の記念講演「梅田俊作、自作を語る」です。先生は、子育て、孫育て、また現在お住まいの徳島の生活のなかでの様ざまなエピソードを交えながらどのように絵本が誕生したのかお話くださいました。子どもには、遊ぶ自由を保障すること。子どもはひとつ好きなことがあると根
を張って枝を茂らすことができるということ。子どもが逆境のときにどうやったら力を付けていけるかが大切である、といったお話は絵本講師として、子どもと関わる多くの人に伝えていきたいと感じました。
3・11以降、先生が福島に通い続けているうち、土に戻って朽ちていく野菜の葉やりんごの皮、畑の隅に捨てられた野菜くず、街路樹の枯れ葉などに魅入られ「何を托されたんだろう」という想いを持ちながら描かれたとおっしゃって披露してくださった絵に、打ち捨てられたものの命の輝きを見た思いがしました。
梅田先生、佳子先生を囲んでの記念撮影のあとは、籠宮様に乾杯の音頭を取っていただき、和やかに懇親茶話会が始まりました。一年間同じ目標に向かって、苦難の手書きリポート(笑)を乗り越えてきた仲間との会話が弾みます。それぞれのグループリーダーからは、講座を終えての感想が熱く語られました。会場のあちらこちらで、今後の活動についてスタッフや聴講生に相談する姿や、グループを越えて仲間作りが広がる様子がみられました。
まだまだ話は尽きず宴たけなわではありましたが、大久保広子さん(東京5期)のご挨拶で懇親茶話会もお開きとなり、受講生のみなさんは、温かな想いを胸に会場をあとにしました。
東京にふく風が、絵本講師として新たな一歩を踏み出した皆さんを祝福するかのようにふんわりと優しく吹いていました。
(おか・みさお)
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