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報告者
東京8期生
中田 朋子
第3編   〜 絵本講座について 〜
2012年9月29日(土) 飯田橋レインボービル
主催:NPO法人「絵本で子育て」センター  共催:ほるぷフォーラム社
協賛:岩崎書店・偕成社・金の星社・こぐま社・鈴木出版・童心社・福音館書店・ほるぷ出版・理論社

 2012年9月29日(土)まだまだ残暑が厳しい中、第9期「絵本講師・養成講座」(東京会場)第3編が、飯田橋レインボービルにて開催されました。

午前の講演は、作家であり、劇団「天童」を主宰されている浜島代志子先生による「読み語りの楽しさ(実演)」でした。「絵本は日本を救います」という力強い言葉からはじまりました。「言葉の力は、生きる力となり、人間力をつけていきます。絵本は人間の基本のキです。心の栄養になるためには、声の力が必要。生の声は、愛の証。愛はあげればあげるほど大きくなります」という先生の言葉に心を動かされ、私自身も「絵本で日本を救うぞ〜」とやる気があふれてきました。やはり、生の声というのは、すごい力を持っているのだと実感しました。
絵本の中には「真・善・美」がそろっているということを教えてくださいました。これは「知・情・意」と同じことで、真=知(知識・頭脳)、情=美(感情・愛情)、意=善(行動)この3つの三角形が自分の中でバランスがとれているかを意識すると、困難なことにぶつかったときに、役に立つそうです。この3つが絵本の中にそろっていることで、どう生きたらよいのか? を絵本が教えてくれるというお話でした。
その後、受講生に「3歳まで戻って」といって、『タニファ』(ロビン・カフキワ/著 浜島代志子/訳、コスモトゥーワン)の読み語りの実演をしてくださいました。今の子どもたちの反応、現状を教えてくださり、子どもが主役なので、まるごと受け入れて子どもたちと楽しむということを、学ばせていただきました。子どもたちを静かにさせて、絵本を聞かせるのではなく、「子どもたちが楽しいから心が動いて、初めて栄養になる」ということ、「楽しい」ということが大前提だということを、再確認しました。
次に『太陽へとぶ矢』(ジェラルド・マクダーモット/著 神宮輝夫/訳、ほるぷ出版)の実演、まだまだ実演をしていただきたかったのですが、時間が来てしまい、絵本の紹介をしてくださり、終了となりました。

午後の講演は、片岡直樹氏(川崎医科大学名誉教授、Kids 21子育て研究所所長)の「テレビ・ビデオが子どもの心を破壊している」でした。
特別支援が必要な子どもたちが増えているという現状をお話してくださり、子どもは生まれてから体験することによって、いろいろなことを学び、できるようになり、感情も、体験するから感じることができるので、絵本の読み聞かせは生の声で語りかけるからとても大切であるというお話でした。
3歳6ヶ月の双子のお子さんの映像を見せてくださいました。女の子は普通にお話ができるのに、男の子は話さないのはどうしてなのか? 同じ環境で、おなじ日に生まれて、どうしてこうなるのか? ということ、テレビが2台あると、二人とも話せないまま成長してしまうというお話で、環境がいかに大切なのか、ということが、映像をみて、皆さん実感されたのではと思います。
そのほかにも、生まれてから2歳までの環境、過ごし方がどれだけ大切であるか、子どもたちの映像を元に、お話をしてくださいました。2台テレビがあり、ミルクをあげる父親と赤ちゃんがそれぞれ違うテレビを見ているという映像のときには、受講生から驚きの声があがりました。今まで当たり前だったことが、どんどん当たり前じゃなくなってきているのですね。テレビ環境、早期教育環境が問題で、五感を育てることを怠らないことが大切であるというお話でした。

先生方のお話をお聞きし、共通していることは、声の力、生の声で語りかけることが大切ということです。コミュニケーションの力を育てるということが大切であるということ、それ以前に、家庭からコミュニケーションがなくなっている、という現状が問題だと改めて思いました。親子の交流、地域の交流がなくなり、親自身もコミュニケーション能力が育っていないという現状、絵本講師の必要性、重要性をひしひしと感じた一日でした。

講演後は藤井先生からのお話がありました。教育の場での読み聞かせについて、なぜ、絵本を読む必要があるのか? という基本的な考えをお話してくださいました。学校での読み聞かせについて、自分の行動を再確認し、これからも、子どもたちと楽しんでいこうと決意を新たにしました。

グループワークでは、二つの講演の感想や、意見が活発に交わされていました。浜島先生の素晴らしい読み語りを聞いて、いろいろと考えてしまった方もいらっしゃったようですが、いろいろな意見を聞くことによって、読み聞かせとは何か? という原点を考えるきっかけになったのではと思います。片岡先生のお話については、実感されている方が多かったようです。そして、テレビの影響というものを知らずに、テレビを見せていたということ、無知であるということは恐ろしいという意見に、私も同感しました。

次回は、11月17日(土)になります。寒暖の差が激しくなってきましたが、皆様に元気にお会いできることを、とても楽しみにしております。(なかた・ともこ)

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