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報告者
芦屋6期生
大西 徳子
〜 閉校式 〜
2011年02月26日(土) ラポルテホール
主催:NPO法人「絵本で子育て」センター  共催:ほるぷフォーラム社
協賛:岩崎書店・偕成社・金の星社・こぐま社・鈴木出版・童心社・ほるぷ出版・理論社
特別協賛:ラボ教育センター

 寒さのなかにも早春の息吹が感じられる 2月26日、第7期「絵本講師・養成講座」芦屋会場の閉講式が、ラポルテホール3F特設会場で行われました。
式は、森理事長の修了証書授与から始まりました。一人一人名前を呼ばれ壇上前に整列され、グループのリーダーが代表して修了証書を受け取りました。
  修了証書を手にした受講生に、司会の池田加津子 (芦屋3期)から「皆さんの方(会場)を向いてください」の声で、回れ右をした修了生の皆さんの、少し恥じらいを含んだ笑顔が充実感で輝いていました。
  森理事長より「今日の美しさ穏やかさは、この一年絵本をこれまで以上にたくさん読まれて、深く学びを進めてこられた成果です。絵本講師の活動は大・小さまざまあります。日々の生活のなかで、絵本講師としての第一歩を踏み出してください。また、お仕事、子育てのなかで活かせることもたくさんあります」と優しく凛とした声でお祝いの言葉を述べられました。

 次に藤井専任講師の全体講評では、「全体的に大変良質で完成度の高いリポートでした。リポートに最低限の書誌事項を記すことは、著者、書籍に対する礼儀です。手書きは、書き手の心の温かさが読み手に伝わってきます。絵本が、なぜ今必要なのかを、展開・説明する中心論点がほしいリポートもありました」と講評されました。
最近、新聞で報道された児童虐待の話では、(老人に対する虐待も多いのではないか)駄々をこねて親のいうことを聞かないのが子どもです。大人は、「過去の自分」を忘れてしまっています。老人は「明日の自分」、です。虐待する親は、自己の確立(自己を相対化)することが出来ていない。絵本講師は、そういう問題を解決する役割も、また、持っているのです。
  また、子どもの本・絵本に関わる人に、大切に胸にしまってほしいものが、『読書からはじまる』(長田弘、NHK出版 )のなかに書かれています。「子どもの本に絶対なくてはならないものとして『三つの大切なもの』を挙げています。それは何でしょう。読んでいただいたら、分かります」、と再び、学びの提案をされました。

 続いて、大西徳子 (芦屋6期生)が、まだ少し緊張感のある修了生の皆さんに、自分の経験した初講座の「失敗体験」を話し、エールを送りました。
  次に、はばたきの会・副会長の大長咲子さん(芦屋 1期生)が、「心に留めている言葉は中川正文先生の、『ただの絵本大好きおばさんに、なりなさんなよ!』です。絵本を仲立ちとして親子の絆を強めていくことを伝えていきましょう。心強い味方は、はばたきの会の仲間です」と励ましの祝辞がありました。

 ママズケア主宰の南田理恵様は、助産師として若いお母様方と関わっておられます。
  「子どものころ、絵本を読んでもらったかたと、読んでもらっていないかたは半々です。お母さんは情報の海におぼれています。話を聞いてほしいのです。心に寄り添う絵本講師になってください」、とご祝辞をいただきました。

 こぐま社社長・吉井康文様からのご祝辞は、「アメリカでは名作絵本が電子化され、絵本ではなくなっている。絵本は五感で読むもの、紙の質感、本の匂い。絵本についた子どもの歯型は絵本にとっての「勲章」。電子図書が出回っているが、何かを得ることは、また、何かを失うということ。得られるものは目に見えやすいが失うものは目に見えにくい。絵本を早く与えて、早く卒業させるという現代の風潮を危惧している」と話され、最後に、清水真砂子さん(児童文学の翻訳、評論家)の言葉を引かれ、「≪児童文学とは、人生とは生きるに値するものだ、というメッセージのあるものだ≫。子どもにそういう力を持たせてあげられるような絵本に出会わせてください」と結ばれました。
  絵本講師は、常に時代の流れを視野に入れながら、学び続けることが大切だと胸に刻んだご祝辞でした。

 昼食後は、梅田俊作先生の記念講演「梅田俊作 自作を語る」です。
「がらんどうなんだよね……霞ヶ関のお役人は。ペーパー、ペーパーで、生きているから。紙ばかり食っていたら羊の頭になるよ……」と。「心のがらんどう」について、静かに人間愛あふれる語りで講演は始まりました。
地下鉄サリン・オウム事件、秋葉原事件ついても、自分自身の考えや判断をかなぐり捨てて誰かに委ねてしまう、はじまりは人間形成期に問題がある、と指摘されました
「子どもや孫と遊ぶことは何もかも許せる宗教であり、哲学だ」と語られ、『三つ子の魂百まで』の言葉の持つ意味についても、深いお考えを語られました。
人間形成の大切な時期に、たっぷり遊びを保障してやる。子どもが親と共通体験を持つことは賞味期限の切れない「価値観」を創造することになる。
さらに、大人になっても学ぶものは遊びのなかにあると話され、「竹とんぼ作りの名人」から譲られた竹とんぼを、壇上から会場に向かって飛ばされました。会場全体が、一時(ひととき)、童心に返りました。
  梅田先生はいつも純粋な子どものような眼差しをもっておられます。先生のお話しのなかにある、「哲学をしている」とは、ご自身のお孫さんとの遊びを通して、同じ目線でお孫さんが「人生の大まか」を、鷲づかみするお手伝いをしていらっしゃる、ということなのだなと感じました。

 次に、梅田佳子先生が、読み聞かせと絵本制作の裏話を披露してくださいました。息子さんの許可を得てやっと作った絵本『がまんだ がまんだ うんちっち』(岩崎書店)の愛情あふれる子育てのエピソードでは、会場が笑いに包まれました。
遠く離れたご両親への想いが込められた、『ゆきみち』(ほるぷ出版)など、たくさんの自作絵本を紹介してくださいました。
  最後に、この 3月全国発売される新作絵本『おじいさんもようちえん』(梅田俊作・佳子/作、NPO法人「絵本で子育て」センター)を、心に沁みる声で読んでいただき、ご夫妻の講演は終了しました。

 記念撮影は 2グループに分かれて、梅田ご夫妻を囲んで撮影しました。
  引き続き、懇親茶話会が山内典子さん (芦屋6期)の、爽やかな声の司会で始まりました。乾杯の音頭は井下副会長(芦屋1期生)です。
有松孝子さん(芦屋4期)から、本講座の講師・中川正文氏、とよた かずひこ氏、飫肥糺氏、協賛出版社、関連会社等の祝電披露がありました。
続いて、各グループの代表からの感想発表(「この講座で感じたこと」)では、皆さん壇上で、これからの「活動への意欲」を堂々と語られました。もう、立派な「絵本講師」の誕生です。
  最後に舛谷裕子副会長(芦屋 3期生)から「講座に関することは何でも訊いてください。先輩は皆、待っています!」の祝意の言葉で、会場があたたかい雰囲気になり「旅立ちの宴」は終了しました。

 修了生の皆さんは、別れを惜しみながら、最終リポートを受け取り、希望に満ちあふれた笑顔で会場を後にされました。 (おおにし・のりこ)

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