第 5 期「 絵本講師・養成講座」 芦屋会場 第 3 編が 8 月 23 日、開催されました。
会場のラポルテホールには講座開始時刻よりも随分早くから足を運ばれる受講生も多く、皆さんの絵本に対する熱意が伝わってきます。
午前の部は、劇団「天童」を主宰され、作家でもある浜島 代志子氏による講演<読み語りの楽しさ>でした。
一昨年の第 4 期「絵本講師・養成講座」で講演くださった時は交通事故に遭われて数ヶ月しか経っておらず、目もよく見えず、立っているのもやっとという状態でありながら、迫力一杯の講演をしてくださり、氏の持つ素晴らしいエネルギーに圧倒され、感激で涙が止まらなかったたことが今でも忘れられません。今回また元気な浜島先生の講演を聞く機会をいただいたことに感謝しながら参加させていただきました。
「絵本は日本を救う」「絵本なくして子どもは立派な人にならない」ときっぱり言い切る浜島先生。心から本当に伝えたいことを愛でもって真摯に伝える姿に人は惹きつけられるということを正に実演される先生の姿に見ることができました。
読み聞かせの実演『タニファ』(ロビン・カフキワ 作絵/浜島代志子 訳)では、読み聞かせの手法のみならず、現場での対応の仕方や、翻訳されるにあたっての作者とのエピソードなどもお話しくださいました。また、『はらっぱにライオンがいるよ!』(マーガレット=マーヒー 作/浜島代志子 訳/ジェニー=ウィリアムズ 絵)、『マウイ、たいようをつかまえる』(ピーター・ゴセージ 作/浜島代志子 訳)を実演してくださり、聴衆をあっという間に見事に惹きつけてしまわれるエネルギーにまたもや圧倒されてしまいました。
言葉の力をつけること。国語の力が全ての学力の大本であること。繰り返しと積み重ねが教育の根本であること。そのためには毎日の読み聞かせがとても大事であることを心に刻んだ数時間でした。
午後は、 Kids21 子育て研究所所長・川崎医科大学名誉教授 片岡 直樹氏の講演です。
「テレビ・ビデオが子どもの心を破壊している」という演題で長年の臨床経験から「子どもがどういう風に育つのが良いのか?」ということを小児科医という立場からお話してくださいました。
コミュニケーションに障害を持つ子どもたちが増えている現実。その障害がもしかすると生得的なものではなく、 TV やビデオの長時間視聴による後天的なものであることがあり、 TV 、ビデオの視聴を一切止めて親がしっかりかかわり、生の声を子どもの耳にいっぱい届けかかわることで言葉が出るようになり、表情が豊かになるという事実を目の前に、 TV 、ビデオが及ぼす計り知れない悪影響を思い知らされるばかりでした。
TV 、ビデオの長時間視聴が良くないことは百も承知のこと。でありながら、どれほどの悪影響を及ぼしているかを知る機会がとても少ないと思います。
また、知らず知らずの内に減少している親子のコミュニケーションの機会。
それは意識しないと気付かないほどのわずかなことの積み重ねかもしれないけれど、その積み重ねが良くも悪くも影響を及ぼしていくことを忘れないようにしたいと強く思いました。小さな子どもたちの 1 年は大人の 1 年とは全然違うということ。まだ発展途上の脳に大量の音と映像を浴びせることの怖さを改めて感じました。
講演後のグループワークでは午前、午後の講演について活発な意見交換が行われました。
読み聞かせには様々な手法があり、その時の読み聞かせの人数や形態によっても変える必要があること、また読み聞かせをする人が経験を積むことの大切さにも話が及びました。
TV 、ビデオの視聴については、受講生の中には今子育て中でありながら、ご家庭で TV を見ないで過ごされている方も多く意識の高さを感じたとともに、現実には TV が長時間つきっぱなしで過ごしている家庭が多いことに隔たりを感じずにはいられません。
より多くの子育て中のお父さん、お母さんに絵本の持つ力と映像メディアの恐ろしさを伝えることが絵本講師の持つ大事な役割の一つだと痛感した 1 日でした。 (かじた・けいこ)
|