こども歳時記
〜絵本フォーラム第23号(2002年07.10)より〜
覚えていますか、子どもの頃を
 覚えていますか? 裸足で海辺に立っていると、波がよせてはかえすごとに足の裏の砂がなくなる感触。木洩れ日の中、川遊びするときの水面のまぶしさ、冷たい水の心地よさ。
 夢中になって砂遊びをしている子どもたちを見ていると、忘れていた夏の日のひとこまを思い出す人も多いでしょう。その記憶の場面の中には大好きな誰かもいるのではないでしょうか。
だいちゃんとうみ
『だいちゃんとうみ』
(福音館書店)
 また、児童書や絵本で子どもの頃の記憶と重なる経験を持つ人も多いものです。 『だいちゃんとうみ』(太田大八・作絵/福音館書店)海を知らない人や田舎を持たない人にも、この絵本は大人に幼い頃を思い出させてくれます。それはきっと画面いっぱいににあふれる自然や、晩ごはんを知らせるお母さんの声、みんなで囲む食卓などの場面の数々が大人心に響いてくるからだと思います。人は幼い頃を思い出すとき、優しくなれると言われていますよ。優しくなれないときは、きっと心が疲れているのです。優しくなりたいときにも絵本を開いてみましょう。そして絵本の世界からイメージを広げてみませんか? そんな時間をもったなら、あなたはもっと優しくなれると思いますよ。
夏休みの思い出に何を残しますか
 イギリスでは去年の夏の電気料金が驚くほど増えたため電電公社が調査した結果、夏休みに子どもたちが長時間コンピューターゲームをしたり、テレビを見たりしたのが原因だったそうです。日本では子どもの遊びについての調査で、およそ7割の子どもが家の中でテレビ・ビデオを見たり、ゲームをして過ごしているという結果がでています。室内遊びで体力も消耗しないため、眠りが浅くイライラしたりむかついたりする子どもが増えてきているということです。
 身近な大人はどうすればいいのでしょう。まずは現状認識すること。そして何が必要かを感じることができたなら、対処していけるのではないでしょうか。『かみなり雲がでたぞ』(最上一平・作、遠藤てるよ・絵/新日本出版社)できれば、お子さんが小学校中学年位までに、まず保護者に読んでもらいたい本のひとつです。児童書を読めば、子どもが育つのに必要で大切なものを思い出しますよ。さて、みなさんはどんな夏休みを過ごしますか?
かみなり雲がでたぞ
『かみなり雲がでたぞ』
(新日本出版社)

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