リレー

「樹の実」のこと
(群馬・読みきかせぐるーぷ「樹の実」代表・米田 七生)


 私は60歳。孫の裕貴は9カ月。孫が生まれるとわかったとき、まず考えたことは、「読みきかせができるぞ」ということでした。孫はまだ娘のおなかの中。周りの人は大笑い。でも、私は即実行に移し、『ほるぷこども図書館』を娘に贈ったのです。これからの読みきかせを楽しみにしているナナばあさんです。
 私は今、沼津市に住んでいますが、以前は高崎市に住んでいました。18年前、娘が小学生のとき、PTAで親子20分間読書運動に取り組みました。群馬県立図書館のご指導や研修で、集団の子どもたちへの読みきかせも学び、3年間の実施を終了しました。
 ちょうどそのころ、高崎市片岡公民館が改築されました。公民館には図書室があるはずとのぞいてみると、立派な図書室がありました。でも、本は? 100冊ほどの本が埃をかぶっていました。早速、PTAの読みきかせの仲間に呼びかけ、読みきかせぐるーぷ「樹の実」を結成し、図書の購入や整理をし、1985年秋に開室しました。12月には、第1回のクリスマス会を開催し、大勢の子どもたちが集まりました。人形劇、パネルシアター、大型紙芝居など、すべて手づくりの出発でした。今年も16回目のクリスマス会の準備が始まっています。
 遠く離れて住む私は、当日のお手伝いしかできないのですが、「樹の実」の仲間たちは、家族の介護や、自分の病気や、忙しい仕事の中、週2回の貸し出しや読みきかせを続けています。今年、「樹の実」は高崎市生涯学習フェスティバルで表彰されました。
 「おばあさんになっても、読みきかせをしようね」が、「樹の実」の合い言葉です。
絵本フォーラム32号(2004年01.10)より

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