リレー

愛情を届けてくれる読み聞かせ
(兵庫・芦屋市立打出保育所所長・畑 のぶ子)


 保育所での子育て支援の一つとして、保護者や地域のお母さんたちに、絵本の読み聞かせについて、森ゆり子先生にお話ししていただく機会を持ちました。
 子どもたちの思いがお母さんに届きにくいほど、子どもの育つ環境が悪化していることを改めて感じ、絵本の読み聞かせの大切さを強く思いました。
 私が子どものころ、父に、眠る前にときどき素話をしてもらった記憶があります。もちろん昔のことなので、絵本の量も少なく、装丁の立派なものもありません。思いつくままに、同じ話を何回も聞かされたように思います。今思えば、父の語ってくれる話を通して愛情をいっぱいもらっていたのだと思いました。
 森先生に、絵本の読み聞かせに年齢はないことをお聞きし、絵本の楽しさをお母さんにも知ってもらいたいと思いました。お父さんやお母さんの集まる機会を利用し、『はらぺこあおむし』『ラヴ・ユー・フォーエバー』などの絵本を読ませてもらいました。子どもを前に読むのとは違い、内容、時間、場所など、いつも以上に気を遣い、緊張しましたが、下手でも心を込めて読もうと思いました。そして、お母さんたちから「楽しかったです。あの本買いました」「私も息子がいるので、胸が熱くなりました」との感想をいただきました。お母さんを通して、きっと子どもたちに返っていくことでしょう。
 お話や絵本は、お父さんやお母さんからかけがえのない宝物をもらい、また、自分の知らない世界をいっぱい体験でき、人生を豊かにしてくれます。子どもたちにとって、こんな素敵なことはありません。
 これからも、いろいろな絵本や人との出会いを大切にし、読み聞かせを実践していきたいと思います。
絵本フォーラム31号(2003年11.10)より

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