リレー

みんな絵本大好き
(福島・若松第一保育園園長・大堀 邦子)


 「毎週木曜日」夕方の4時過ぎになると、絵本を小脇にかかえた園児たちが図書室へと向かう廊下はとてもやかましさを増します。そうです。「毎週木曜日」は絵本の貸出日なのです。図書室には所狭しと4段の本棚が置かれ絵本や図鑑や紙芝居がぎっしり並んでいます。園児たちは自分の読みたい絵本をさがし、図書カードに名前を書き、いそいそと帰っていきます。図書室にはおよそ2000冊の本があり、お母さん方への貸し出しもやっています。当園での貸し出しベスト3は、『三びきのやぎのがらがらどん』『はらぺこあおむし』『にじいろのさかな』です。時々返却絵本をお母さんが忘れてしまい、絵本を借りていかれない事がわかると、もう子どもは可哀想に大泣き。(返却日に絵本を返し新しく絵本を借りるという約束になっている。)お母さんには返却日の約束を守ってもらえるようお話しはしているのですが…。でも、週一度の絵本の貸出日を楽しみに待っている子どもたちは納得がいきません。大泣きしている子どもを図書室につれて行き、保育士が絵本を読んであげると、さっきの泣き虫からもう笑顔に戻っています。
 子どもたちが安心して楽しく園生活を送れるよう、時間を見つけては絵本の読み聞かせを実行しています。保育士が絵本を手にすると子どもたちは魔法にでもかかったかのように静かに聴き入っています。毎日の保育の積み重ねの中で、人の話をきちんと聴ける子に育って欲しいと願っています。
 数年前の保育発表会の時、保護者の皆さんに大型絵本を読み聞かせした事があります。絵本の大きさに驚かれたり、自分の子がこんな風に読んでもらっているのね…とか、久しぶりに絵本を読んでもらい、心地よかったなどの感想をいただきました。絵本は大人も子どももやさしくしてくれます。小さい頃に読んでもらった絵本がきっかけで、本好きになってくれる子がひとりでも増えたらと願いつつ、私たちは今日も時間を見つけては、子どもたちの前で語りはじめるのです。
絵本フォーラム26号(2003年1.10)より

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