リレー

仲間と子育てする
(福岡・あおぞらゆうゆう会・大久保 富美)


 私達は「自然の中で仲間たちと見守る子育て」をモットーに福岡市を中心に活動している共同自主保育のグループです。
 今年の9月に始まったばかりですが、現在3家族・子ども6人で活動をしています。活動場所は特定せず、話合いで予定を立てて市内の山や川や公園にお弁当を持って出かけていきます。山の中では、葉っぱや枝を拾って遊んだり、斜面を登ったり、思いがけず木の実をみつけたりすることも…。川遊びでは時のたつのも忘れて水と戯れています。公園にも時々出かけますが、かえって何もないところのほうが空想が広がり、何時間でも遊び続けられるようです。そんな時、子どもの想像力の無限さを感じます。
 途中でお弁当を食べるほかは帰るまで遊ぶだけですが、遊びに没頭している子どもたちにはあっというまです。帰りには絵本とおやつの時間。絵本は親が場所や季節に合わせて持ってくるのですが、皆大好きで前のめりになって見ています。ごっこ遊びの素材に使われることもあるようです。
 取り合いやけんかも、誰かをはずして遊んだり、本当は一緒に遊びたいけどどう誘ったらいいのか分からず叩いてしまうのも子どもの成長の過程ということで、大人は口出しをせず見守る姿勢で子ども同士の関わり方の変化を待ちながら、実は子どもたちの行動の一つ一つに深い意味があるのだと気づくことが多々あります。
 親同士相談しながらマイペースな活動ですが、時には預けあって他の子も見る中でわが子を客観的に見ることができ、また仲間の中で育っていく子どもの姿をみられるのは自主保育の良さの一つだと思います。また「こんなことがあったのだけど、どう思う?」と仲間と子どもの行動について話し合える真剣さも「遅くなったから一緒に晩ご飯どう?」というようなルーズさもなんでもあり。
 深く他人と付き合うのは大変なことかもしれないけど、気心がしれると楽しさも倍増します。大人のそんな姿を見て子どもたちも関わりを深めている様子。晩ご飯を食べていったり、一緒にお風呂に入ったりとまるで兄弟のように過ごしています。
 少子化の影響で子どもたちの人との関係作りが弱くなってきていると言われています。でも、人と関わる力が弱くなってきているのは子どもたちだけではなくて、大人もそうなのだと思うのです。
 この自主保育を通して、子どもを育てつつ親も自分を育ててもらっているなあと感じる今日この頃です。
絵本フォーラム26号(2003年1.10)より

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