リレー

偏見よりも理解を
(羽曵野市立青少年児童センター社会教育主事・風呂谷 康世)


写真  子ども同士のトラブルの中で、決めつけが多いことに気づきます。相手のことを理解して、自分の気持ちも伝えていれば、そんなトラブルにはならないのに…と思うと、とても残念です。
 絵本の中に「おおかみ」「おに」「やまんば」などが悪いものとして登場するものがあります。悪いおおかみもいるかもしれないけれど、良いおおかみもいるのだよ、オオカミ=悪い奴ではないことを、これからの子どもたちに理解してもらいたい。そして、何事も決めつけずに正しい判断のできる人間になってほしいと思います。鬼や、やまんばについても同じです。
 「決めつけが差別につながる」ことを感覚として身につけてほしいのです。もちろん、そんな決めつけの絵本ばかりではありません。子どもたちに伝えたい良書がたくさんあります。
 絵本の研修会で『まゆとおに』(こどものとも・福音館書店)を知りました。やまんばの子どもを食べようとしたおにが、やけどをしてやまんばの家で手当を受けて、仲良しになるというお話です。
 コミュニケーションをとることが難しい時代だといわれていますが、絵本がそれを助けてくれると思います。
 自分と違っているから変だ、間違っていると考えてしまう子どもがいます。また、他人と違うことをすごく恐れる子どもがいますが、そういう子どもたちにも違っていてもいいんだよ、と教えてあげたいです。子どもの数だけ保護者がいて、その価値観も様々です。
 心の育ち方もその家庭によって違いはあるでしょうが、いろいろな絵本にふれてみて、その作者の思いや願いが一冊一冊に込められていることを、子育てセミナーに参加してくださるみなさんにも共感してもらいたい、と願っています。
絵本フォーラム20号(2002年01.10)より

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