はばたきの会交流会


<2014年度 第2回「絵本講師の会」交流会報告> 
(2015/01/10)


「新しい春の風を受けて」

共にはばたくチョウが集う……

 1月10日、芦屋市民センターにて、2014年度第2回「絵本講師の会」(はばたきの会)交流会が行芦屋の素晴らしい街並みわれました。私にとって、約2年振りの交流会参加となり、多少の緊張と心躍るような気持ちで、福山(広島県)より芦屋へ向かいました。芦屋に着いた時には薄曇りで冬の空模様でしたが、日中は晴れ渡る陽気となりました。今回は、いつもより広くて外の見晴らしがとても良いお部屋での開催となり、交流会に、芦屋の素晴らしい“街並み”という借景の彩りを添えてくれました。

 まず、森ゆり子理事長より「今年度末で、約1300名の絵本講師が誕生し、今日、この交流会には、芦屋会場11期を修了されたばかりの25名の方が参加しております」とのこと。また、「絵本講師として、“講座”を開くことが全てではありません。それぞれ皆さまが、身近な方や、色んな場所において、絵本のことなどを伝えていって頂ければ、と思います」との<あいさつ>を頂きました。
支部紹介 続いて、いつもの<自己紹介>へと移りました。今回、交流会に約80名の参加があったこともあり、ひとり1分の自己紹介タイムはなく、各々、「○期、名前、居住地」の3つのみ紹介する形となりました。その分、その後の<支部紹介>の場で、日頃の支部活動のことを、支部代表者が発言されていました。

 
そして、午前の部最後は中村利奈さん(芦屋2期)による、「乳講師 中村利奈幼児の保護者向け」の<絵本講座>が行われました。『絵本で子育て〜絵本の楽しみ方を知ろう♪〜』と題して、中村さん自身の日頃の子育て(小学5年生の男の子と、5歳の女の子がいらっしゃるそうです)のお話しを交えながら、まだまだ小さなお子さんの子育てに奮闘されているだろう保護者の方へ、やさしく語りかけるような講座の運びでした。「親子での読み聞かせが、お子さんの“想像力”を育むことにつながる」。普段の子育ての中で、想像力が徐々に育っていることに気付くこともあるのでは、とのこと。そして、読み聞かせをする時には、TVやおもちゃが近くに無い、静かな空間の中で、絵本を読んであげてほしい、と話されました。そのことが、「聴く耳」を養い、人の話しに「耳を傾ける力」ひいては、その子どもの「コミュニケーションの力 につながる、とのこと。
さらに、『あぶくたった』(構成・絵/さいとうしのぶ、ひさかたチャイルド)の読み聞かせをされ、こうしたリズミカルな絵本は、親子のスキンシップがしやすくなり、「親子の絆」を育みやすくなるそうです。子育てのヒントとして、『かみさまからのおくりもの』(作/ひぐちみちこ、こぐま社)を読まれ、自分の子育てを思い出されたようで、時に涙ぐみながら、「子どもが、(何かが)上手いかどうかではなく、好きかどうかで判断してほしい」「幼少期は、“好き”を育てる時期なので、たくさんの“好き”を親子一緒に育んでほしい」、と伝えられました。そうしたことが、子ども自身の「自己肯定感」や「安心」「希望」につながり、その子の心を育むことにつながる、とのこと。そして、最後に、『今日』(訳/伊藤比呂美、画/下田昌克、福音館書店)という、素敵な絵本を紹介されました。

 午後の部は、まず、久賀弥生さん(芦屋6期)による、「小学生の保護者向け」の<絵本講座>から講師 久我弥生です。『10代の子どもたちと絵本〜10代の子どもたちと絵本を通じてふれあう中で見えてきたこと〜』と題して、日頃の小学校での図書ボランティアを通して、感じたこと、伝えたことを、とても情感豊かに、時に力強く、私たち講師に向けて話されました。昨年1年間で50回の読み聞かせを、ある小学5年生のクラスで行ってきたとのこと。とても“荒れた”クラスで担任の先生方も苦労なさっていたそうです。「“学級崩壊”。そのように、軽々しく大人たちが言ってはいけない!」そうゆうコトバを、先生など教育者や、メディアや保護者たち、“大人”が作り、口に出して言うことで、私たちの心の中で、意識の中で、そう決め付けていってしまう。そうした目で、そのクラスを見てしまう、とのこと。

  久賀さんが、正面壇上の横にあるホワイトボードに、「差別の氷山」と題したイラストを描いてい資料ました。「人権意識の海の水面下には、それぞれの人々が持っている“心理的差別”があり、その上に、“実態的差別”として様々なことが、社会の場に表れてきている」とのこと。久賀さんは、「この“海”を温めて、この氷山を少しでも小さくしたい!」と、力強く語られました。
私は、このイラストや、前に並べられた絵本や本を見て、久賀さんの圧倒的な読書量とリサーチ量、そして独自の視点・視野を感じると共に、ご本人の、この社会に生きる全ての子どもたちへの深い、深い“愛情”を感じました。そして、このイラストの右端に、“差別の氷山”の一つとして「ハンセン(病)」と書かれた文字を見て、私は目を見張りました。

  個人的なことですが、私は、大学1年の時に、医師でノンフィクション作家・徳永進さんの著書『隔離〜故郷を追われたハンセン病患者たち〜』(岩波現代文庫、2001年、原書は1982年)を手に取り、この差別問題と出会い、その後20年以上、世間に細々と“心のアンテナ”を張って、元ハンセン病患者とその家族の“孤独”と“心の闇”に、想いを馳せてきました。久賀さんの講座の土台には、ご自身の、そうした問題への意識の高さから生まれてくる“想い”が、深く耕されていて、自身の心の“栄養”として吸収されているように思います。
大人が子どもに読んであげることの意味として「絵本―愛の体験」であり、「子ども自身の読書―自立の体験」であると、私たちに話され、この講座では、絵本以外に、『紙つなげ!彼らが本の紙を造っている』(佐々淳子/著、早川書房)という、東日本大震災で被災した、「日本製紙叶ホ巻工場」の物語について書かれた本なども紹介されました。久賀さんの緩急を付けた、笑い(ユーモア)を織り交ぜた講座に対して参加された講師の皆さんから、最後に大きな拍手が寄せられました。

交流会 グループワーク  続いては、参加者の皆さんが楽しみにされている<グループワーク>です。私が参加したグループにも、養成講座を修了されたばかりの「芦屋11期」の方々が、いました。最初の自己紹介では、皆さん、少し緊張されていたようですが、どんどん積極的にお話しをされていました。 中でも、小口芙悠子(芦屋6期)さんの「絵本カフェ」開催のお話しには、私個人も、いつか小さなものでも同様なことをしてみたい!と、以前から考えていたので、大変興味深く聴かせてもらいました。グループの皆さんからは、他にも、「もっと国語(の授業)を大事にするべきでは?」との意見をはじめ、様々なお考えを聴くことができた、貴重な場となりました。
最後になりますが、私自身、多くの講師の方と、一日交流を深めたり、絵本や子育てのことについて話し合ったり、とても有意義で楽しい時間を過ごせました。

   報告・木保孝浩(芦屋8期)報告 芦屋8期 木保孝浩


 

絵本講師の会風景

絵本講師の会風景

              あなたの近くの絵本講師 | 事務局のご紹介 | 絵本講師のご紹介(年度別) 


●前へ● はばたきの会 INDEX ●次へ●

絵本で子育てセンター