伊座利ツアー報告

2014年夏(第6回)

< 伊座利ツアー報告 >

念願のツアーに家族で参加

  「絵本講師・養成講座」で梅田俊作先生ご夫妻の講演を聴き、その後の交流会で俊作先生のお人柄に触れる中で、先生にまたお会いしたい!
はばたきの会の夏のキャンプに参加して先生のアトリエにぜひ行きたい、いや必ず行こう!と、心に誓うほど俊作先生の講演は面白く私の心を魅了したのです。

  お盆前で多忙な夫にも無理を言って休みを取ってもらい、家族での参加が叶いました。4歳になったばかりの息子を先生のそばで遊ばせたかったし、夫にも言葉では伝えきれない魅力たっぷりの先生に実際に会って欲しかったし、きっと面白いことが目白押しにおこる予感満載のこの旅行を家族で味わいたかったのです。

  実際、面白いこと目白押しどころか、目が白目をむいてしまうほど衝撃的な旅行と相成りました。夫は当日まで徳島に行くことすら知らず、私は「台風来てるけどそれてるし、ちょっと降ってもすぐ止むやろう」くらいの根っからの脳天気さで、家族3人の雨具は折たたみの傘1本だけ。
バスが目的地である徳島県阿南市に入ってから、窓から見る景色の異様さにようやく「あれ?」と思い始めた私たち夫婦。
小さい川はすでにあふれて道路や田んぼも水につかり、場所によっては建物も床下浸水している所もありました。
その時ようやく私たちはこちらの天候がひどい状況であることを知りました。降り続く雨の中、俊作先生のアトリエに到着して、先生の作品に感嘆の声をもらしていると、みんなの携帯電話があちこちで鳴り始めました。
土砂災害の危険があるため避難するようにという避難指示のメールでした。

  なんとなく場の雰囲気が心配で硬くなり始めました。先生方や役員さんは今後の行程について検討し行動し始めてくださいました。
お父さんたちは豪雨の中バスから荷物を運んだり、雨よけの対策を施したりしてくださったり、それぞれがそれぞれのできることをする中で、アトリエに残った大人と子どもたちには絵本の読み聞かせの時間が始まりました。かわるがわる大人たちが絵本を読んだり、お話を語ったり、ゆっくりと静かな時間が流れました。
硬くなった場の雰囲気がゆるんでいくようでした。みんなで絵本を楽しんだあと子どもたちは、かくれんぼをしたり、持っていたカードゲームをしたり、それぞれに絵本を読んだり、それぞれが自由な遊びを楽しんでいました。4歳になったばかりの息子のそばで、楽しそうな子どもたちの笑顔を見ているだけで、不思議と私の中の心配は消え去っていきました。

  降り止まぬ雨の中、先生の大きなガレージでバーベキューが始まりました。ふざけ合う子ども会報 いざりたちを見てげらげら笑い、かつおのたたきを漁師さんのように手でつまみ、美味しい海の幸、お肉、お野菜、みんなでにぎったおにぎりを、ほんとうに楽しい気持ちでたくさんたくさんほおばりました。
避難指示が出ていることも、目と鼻の先にある増水した川面の波立つ様子が、ガレージからでも見えることも忘れて。キャンプ場は危険ということで夜は先生のアトリエにそのまま泊めていただくことになりました。
大人、子ども合わせて30人で雑魚寝です。

  雨は次の日も降り続いて、危険な状況が続いているということで午前のうちにアトリエを出発して帰路につくことになりました。川遊びを楽しみにしていた子もいるでしょう。雨にたくさん濡れて、お風呂にも入りたかったでしょう。もっとどこかに遊びに出かけたかったかもしれない。でも子どもたちは誰ひとり不満をもらさず、この状況を受け入れてくれました。

  私はこの旅で子どもたちが本来持っている前向きで力強いエネルギーを肌で感じることができました。
このような天候の中で、俊作先生は常に「おもしろいねー」「すごいねー」「こんな経験できないねー」と繰り返されました。
軒先に雨水がたまって池の様になればそこにカヌーを浮かべてみたり、「今日は水遊びし放題だよ」といって水鉄砲を貸してくださったり、雨の中網をもって「カエルをつかまえに行こう」と息子を誘ってくださったり。
このような状況でも、これが俊作先生のアトリエで、そして子どもたちが一緒だったから、こんなに楽しく愉快な2日間を過ごすことができたのだと思います。

  息子は帰ってすぐに、バーベキューごっこや改札口ごっこを始めました。
買ったばかりの網と虫かごを持ってカエルを追いかけ始めました。たくさんの楽しく刺激的な体験をごっこ遊びで繰り返し味わっているようです。

  来年もきっとおもしろいこと目白押しに違いない! と、もう今からワクワクしています。
俊作先生、来年もまたよろしくお願いいたします。
(まつもと・よしみ)

報告者・松本 喜美(芦屋10期) 松本喜美


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