私の絵本体験記

「絵本フォーラム」98号(2015年01.10)より

絵本はおっぱい

永田 貴子さん(兵庫県神戸市)

永田貴子さん体験記"

 寝る前の絵本タイムは、息子がおっぱいをやめることになった次の日から始まりました。おっぱいは、息子がいらないという日まで続けよう。いつか卒乳できる日まで自然に待とう。きっと、長いお付き合いになるぞ……、そう思っていました。しかし、それは思いがけずやってきました。1歳10ヶ月の時に転んで前歯を折ってしまったのです。前歯が痛くておっぱいは飲めないし、飲ます私の方も欠けた歯がおっぱいにあたって痛くて辛いし……なんだか残念な形での断乳となってしまいました。幸いなことに心配していた寝ぐずりも少なく、絵本のお陰でスムーズに寝てくれるようになりました。

  あかちゃんだった息子ももうすぐ4歳。お気に入りの絵本もたくさんできました。本棚の前に立って絵本を選ぶ幸せ時間は、寝る前の儀式の1つです。同じ絵本を読む日々が数週間続くこともありますが、その甲斐あって?!最近では『読んであげるね』と、暗記しているお気に入りのフレーズを上手に読んでくれます。楽しそうな私たちに影響されて、週末には主人も絵本タイムに参加してくれるようになりました。

  おっぱいは卒乳までできませんでしたが、寝る前の絵本タイムは息子がいらないという日がくるまで……卒絵本タイムの日まで続けられたらいいなぁと思っています。布団に寝転がって息子のぬくもりと息遣いを感じられるあたたかい距離で読む絵本の時間は、おっぱいの時と同じです。この幸せなひとときが一日でも長く続いてくれることを願いながら、家族で過ごす絵本タイムを大切に暮らしていきたいです。
(ながた・たかこ)

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