おすすめ絵本

「絵本フォーラム」第98号(2015.01.10)








ヨハンナの電車のたび
『パンどうぞ』 
彦坂有紀・もりといずみ/作 
講談社

  「あんパンどうぞ」という言葉と、丸くてゴマがかかってふんわりしたあんパンの絵の、次のページには、「ぱくっ」という言葉と、パンが一口かじられた絵が、描かれています。かじったところから、おいしそうなあんがのぞいています。同じように、ロールパン、ジャムパンなどが紹介され、最後にはパンを半分に切ってハンバーガーが作られます。パンのおいしさ、質感が繊細な木版の絵で表現された「おいしい」絵本。


ゆうぐれ
『ゆうぐれ』 
ユル・シュルヴィッツ/作 さくまゆみこ/訳 
あすなろ書房

 長いひげをはやしてコートと帽子をかぶったおじいさんと、コートと帽子とマフラーをした男の子とやせ犬が散歩に出かけます。川に沈む夕日を見て、雪が残る街で、買い物帰りの人や旅行者など、行きかう人々を眺めます。やがて、街はクリスマスのイルミネーションであふれ、男の子は「きらきらしている」と喜びます。水彩とペンで描かれた穏やかで明るい街の風景がおじいさんと男の子と犬の交流を表しているように感じられます。









パンどうぞ
『ヨハンナの電車のたび』
カトリーン・シェーラー/作 松永美穂/訳
西村書店

 表紙をめくると鉛筆デッサンで描かれた鉛筆を持った手と白い紙が描かれています。そして、ページをめくるごとに、絵が描かれ、ヨハンナというブタが作家と語りながらお話を展開していきます。電車に乗っているヨハンナは、作家によって体に模様をつけてもらい、シャツを着て、ヨナタンという友だちを作ります。絵本を作る過程を読者が追体験できる点がユニークです。


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