村上 忠孝(絵本講師)
2009年の秋、ドイツの国際環境会議からの帰りに、フランス・ストラスブールのノートルダム大聖堂を訪れました。聖堂の真ん中で、掌を固く合わせて祈っている女性に目がいきました。「あなたは確か香港からフランクフルトまで私の隣の席の方でしたね」、と声を掛けると、ビックリした様子で振り向かれました。
遠いヨーロッパでの偶然の出会い。そのあと大聖堂の裏のライン川の畔のカフェで紅茶を飲みながらお話をしました。名前は詩乃さん。彼女が、「熊野古道の高野山から那智に通じる古道沿いに、絵本で頑張っている人が居られますよ」と話されました。
それが私と絵本の最初の出会いでした。
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ある日のNHKの「ラジオ深夜便」で、詩乃さんから聞いた山の中の小さな本屋の店主がお話されていました。和歌山県の山の中の小さな村の、小さな本屋さん。
日用品も売っていて、近くの学校帰りの子どもたちが立ち寄り、絵本を読んで行くとのこと。お話を聞くと、この地方は、絵本の読み聞かせが盛んで、いろいろなグループがそれぞれ特色を出して盛んに活動されているとのことでした。
大人が子どもたちの為に、競って「絵本の読み聞かせ」をする村とは、どのような村なのか。また絵本が大好きな子どもたちとは、どのような子どもたちなのか。
絵本が好きな子どもたちに、良い絵本を選書される小さな本屋さんの店主さんの存在にますます興味が湧いてきました。
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ある日、詩乃さんからメールが来ました。山の中の小さな本屋さんが「絵本の原画展」をやるので見にこないか、と誘いの内容でした。
紀勢本線の「御坊駅」で待ち合わせ、駅前からレンタカーを借りて日高川を2時間ほど遡った所に、「山の中の小さな本屋さん」がありました。
屋号は『イハラ ハート ショップ』。店主の「井原万見子さん」が店の前で迎えてくれました。本当に小さな本屋さんでした。
この山の中の小さな本屋さんが『すごい本屋!』という本を出版されました。
その中には、住人100人の山奥の村にある、本屋さんを舞台に起こる小さな奇跡。村の子どもたちとの楽しい日々の出来事が綴られていました。
日本の有名、無名の「絵本作家さん」が此処の「小さな本屋さん」を応援しています。日本中の有名、無名の出版社が、応援しています。沢山のサポーターを魅了する、井原万見子さんとは、どのような方なのか、ますます脳(好奇心)が活性化してきました。
パソコンで「絵本」を検索したら、あるわ、あるわ、絵本の関係ホームページ。次々クリックしたら、受講生募集の文字が目に入る。NPO法人「絵本で子育て」センターの「絵本講師・養成講座」の案内。先ず電話でまだ申し込み可能か聞いてみたら、「まだ大丈夫です」の返事。
早速申し込みしました。真面目に出席して、めでたく受講修了したのはいうまでもありません。
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現在は地域の福祉センターで、子どもたちに「絵本の読み聞かせ」をやっています。地域情報紙の取材を受けて、地域の人気者になりました。地区育爺(いくじい)の地域デビューです。
伊丹市立女性児童センターから講座依頼があり、絵本講師仲間の向江まゆみさんの応援を得て無事に勤めました。
また、亡き母親の「法事」で「絵本の読み聞かせ」を披露した時は、親戚一同「爺さん、凄いね!」と喜んでくれました。
現在、東日本大震災、福島原発事故から神戸に避難されている方の心の支援をやっています。私の支援は「東北・福島の子どもたちと母親」に心休まる「絵本の読み聞かせ」を続けることです。また東北、福島の人々と、原発廃棄、脱原発の共闘をやることです。
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私の将来の夢は、絵本作家になることです。毎日、畑で農業をやっていて、素敵な仲間たちが毎日私の「アンクル・トム農園」を訪問してくれます。アライグマのラスカル、モグラくん、カラスさん、小鳥さん、カエルさん、あおむしさん。みんなで絵本のページを作っています。
近日公開できるかな……。故郷の土の香りの絵本作家の誕生を「乞うご期待」!
(むらかみ・ただよし)
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