えほん育児日記

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~絵本フォーラム第84号(2012年09.10)より~  Vol.2

我が家のブーム。虫・虫・虫……。

 

 ダンゴ虫。いるかな いるかなー♪ ダンゴ虫——♪
 次男は、歌いながら大きめな石があれば「よいしょ」と持ちあげ、ダンゴ虫を探します。ダンゴ虫を捕獲したら「これ持って帰っていい? 育てるから」と。
 こどもの自然や生き物への興味は大切だと思い、内心「ひえーっ、持って帰るのかあー」と思いながらもお持ち帰りします。
 帰宅してから、ダンゴ虫の餌は落ち葉だよ、と長男が言うので落ち葉探しに再出発。「これは草?」「これ葉っぱかな?」(そんなにこだわるものなのか)。「落ち葉というから、道に落てる葉のことやで。草はあかんで。落ちているのを探そう」と言いながら、公園を散策しました。
 公園ではバッタや蝶に目を奪われ、落ち葉拾いを忘れ、虫をたくさん捕まえました。捕まえた虫たちは自然に返したい私ですが、息子たちはお父さんに見せたいというので、結局お持ち帰り……。
 そして嫌な予感は的中するのです。帰宅してしばらくするとリビングで不審な動きが……。バッタが数匹脱走しソファの下やら机の上やらとぴょんぴょん飛び回り、ただでさえ蒸し暑い中、汗だくになり捕まえました。お願いだからダンゴ虫は脱走しませんようにと思いつつ。

              *   *   *

 かつて私もダンゴ虫が大好きでした。5〜6歳の時、ダンゴ虫を捕まえ、ジャムの瓶いっぱいにし、母親が悲鳴を上げたこと覚えています。驚かすつもりでもなくて「うわー。いっぱいだね!」と言ってもらいたかっただけなのに……。ずいぶん怒られました。
 生き物に関することで一つ忘れられないことがあります。
 私が通った小学校では3年生になるとウサギ当番とチャボ当番がありました。たしか夏休み中、早朝のお世話当番になり檻の中で糞を掃いたりしていました。
 足元にいたウサギがぴょんととび跳ねた、その下に小さなたまごがあったのです。私は「うわー!かわいい!ウサギのたまご!」と大興奮。ウサギ小屋に隣接してチャボ小屋があり鶏たちが時折、ウサギ小屋に来ていて鶏と遊んでいました。そんな小屋だったのに、私はすっかりウサギのたまごと思い込んでしまったのです。
 パリパリとたまごが割れて中からウサギが出てくると考えただけでわくわくして、先生に許可をもらい持って帰りました。帰宅一声、「おかあさん、ウサギ飼っちゃだめ? 」と。
 「ウサギ?なんで? 」といわれ、私は「実は今日、学校でウサギのたまごをもらってきちゃったの」。母は「えー?もうあなたは勝手にそんなものをもらってきて!ちゃんとお世話できるの?」と。「たまごから無事生まれなきゃいけないのだからどうしたらいいのかしら? 清水さんにきいてみなきゃ」、と母はご近所のウサギを飼っている清水さんに電話をしたのです。
 清水さん、「あのー、ウサギってたまごから生まれましたっけ?」。結局、親子そろって赤恥。ウサギではない鶏のたまごは、無事ウサギ小屋に返還されたのでした。でも母がパリパリとたまごの殻を破ってウサギが出てくる様子を想像していたのかと思うと、今でも思わず笑いが込み上げてきます。
  
              *   *   *

 動物や虫が主人公の絵本は数多くあります。息子たちにとっての興味・関心がそういった絵本に向かっているのでしょう。
 かたや真実を伝える写真絵本では、ダンゴ虫が脱皮する様子や、めったに見ることのできない決定的な瞬間が、絵本の中にあります。それは息子たちには知識として蓄えられていきます。だからこそ興味を持っている今、虫捕りに行っていろいろな生き物と触れあわせたいと思っています。
 実際、私は虫が大の苦手です。いつから虫に対してこうも苦手になったのでしょうか。石をめくりあげた瞬間の、あのうじゃうじゃ虫がいっぱいいるのを見るだけで寒気がします。かつて私がダンゴ虫をジャムの瓶いっぱいに入れるなんて、今ならきっと卒倒してしまいます。息子たちには、へっちゃらな顔でいるよう努めるのもなかなか大変なものです。

 息子達は、網と籠を持ちバッタや蝶、トンボ、ダンゴ虫を捕えに走り回っています。慎重で臆病な長男はなかなか捕まえられず、考えるより行動派の次男はさっさとバッタを捕まえます。籠の中はそれぞれの性格が表れています。いつもいく公園には蛙を飼っているという子がよく来ていて、蛙の飼育ケースを手にひたすら餌となるハエを採っています。それを興味深く見ていた長男の籠には数分して見ると数匹の虫が。「お!捕まえたの? なになに? 」と見るとハエが…。蛙の子と一緒になってハエをとったようです。それもまたおもしろいです。内心、「うひゃー」ですけれど。
 我が家にやってきた虫たちのその後はどうなったか……。翌朝には虫籠に虫はいません。そう、子どもたちが寝た隙に外に放っているのですから。子ども達は、それはそれで満足の様子。また、一夜限りの我が家の虫たちを捕まえに、いざ公園へ!

                           (かとう・みほ)

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