私の絵本体験記

「絵本フォーラム」74号(2011年01.10)より
「本は、日々の生活に密着している」
井上 幸子さん(東京都練馬区)


 『ほるぷフォーラム』との出会いは7、8年前にさかのぼります。それは、OL時代の会社の先輩 ( 主人との出会いのキューピットでもある友人 ) が以前、山形に住んでいて親子で遊びに行った時です。

 本棚に絵本がたくさんあって驚き、『ほるぷこども図書館』を教えてもらいました。早速、本を取り寄せて子どもに読み聞かせをはじめてみました。

 『からすのパンやさん』『モチモチの木』…私自身も幼い頃に読んだことのある本がいくつもあり、ちょっとした楽しみともなりました。まもなく下の子が生まれ、一年後には仕事 ( 不動産屋 ) で働き始め生活が一変。子ども達は学童保育と保育園に通い、生活も慌ただしくなり疲れた生活がしばらく続き絵本からは疎遠の時期もありました。

 あっと言う間に5年間が過ぎて今に至っております。毎日の読み聞かせは難しいので「構えることなく自然体」がコツかもしれません。 10 月の読書月間に娘の小学校で『ざぼんじいさんのかきのき』を保護者ボランティアで読み聞かせをしました。小学5年生には「もう絵本は幼いかな?」と思いながら読みましたが、子どもたちの心に伝わったようで大変好評でした。

 絵本の力を実感し、「独りよがりはやめよう」と思いました。

先日、下の息子が寝る前に保育園から借りた『はなたれこぞうさま』を読んでいた時のことです。実は水神様を敬うお話だと分かりハッとしました。ちょうどその日仕事の土地売買契約の中で、土地内に現在も古い井戸が残っていて水神様へお祓いしてから井戸を埋める話があったのです。

本は日々の何気ない生活にもじつは密着していて、その力は無限です。娘も「本は水の波紋のようにどこまでも広がっていくね」と楽しさを感じています。これからも親子で絵本を囲んでワクワクするかけがえのない時間を過ごしていきたいと思います。(いのうえ さちこ)

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