私の絵本体験記

「絵本フォーラム」72号(2010年09.10)より
子どもと心通わせ、ともに成長していきたい
野口 理英さん(東京都足立区)


 10月に6歳の誕生日を迎える息子との絵本タイムはもうすぐ 5 年になります。息子に絵本を読み始めたきっかけ、それは 1 歳を過ぎても言葉がなかなか出ない息子に不安を感じた私が、育児書やインターネットで調べ、選んだ「早期教育」、それが“絵本の読み聞かせ”でした。毎日のお昼寝と就寝前の親子の絵本タイム。大好きだった通信講座のDVDや乳幼児向けテレビ番組を見ていた時とは比べ物にならないくらい、息子の目はキラキラと輝き、時には身体全体で反応し、その姿がなんと可愛いことか。程なく心配だった「言葉」も大好きな『ももたろう』(松居直/文 赤羽末吉/画 福音館書店)をはじめ絵本のせりふとともに溢れ、 2 歳半には『ももたろう』ほかお気に入りの数冊を親子でほぼ暗記してしまうほど絵本に夢中になり、絵本はすっかり生活の一部となりました。そして絵本が=早期教育などという考えは我が家から消え去り、やがて母子の絵本タイムは、休日には主人も加わり“家族の絵本タイム”となりました。

私は親としてまだまだ未熟で、すぐに息子を怒りますし喧嘩もします。気まずい空気・・・でも、どちらからともなく「絵本読もうか」「絵本読んで」で 絵本→抱っこ→仲直り です。私は今現在も育児において絵本に助けられ、それと同時に沢山の思い出もあり、振り返るととても幸せな気持ちになれます。それだけで育児が楽しく感じられます。子どもと心を通わせながら、ともに私も成長していきたいと思っています。(のぐち・りえ)

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