私の絵本体験記
「絵本フォーラム」71号(2010年07.10)より
「私には絵本がある」
安東 実香さん(大阪府大阪市市)

 フルタイムで働く私にとって、一番の悩みは、娘達と過ごす時間が少ないことです。悩みというより負い目、といった方が正しいのかもしれません。仕事にのめりこみ、社会人としての自分が充実すればするほど、娘達への申し訳なさが増してきます。それはこの先も変わることはないでしょう。
 
しかし、私には絵本があります。
 
仕事の充実という目的もあって受講した絵本講師・養成講座で私は救われました。
 
講師の中川正文先生の「絵本とは、親子が共に同じ経験を分かち合い、共に楽しむものである」という言葉を聞いて気持ちが楽になりました。絵本って子どものためだけのものではないんだ、私も一緒に楽しめばいいのだ!と。
 
もともと読書が何よりも好きな私は、以来、私自身も、いえ、娘達以上に絵本の世界にどっぷりつかっています。
 
どうぶつの国、おばけの国、外国…私は娘達と一緒にいろいろなところへゆき、空を飛び、土の中をもぐったりと、いろいろな経験をします。
 
実際に娘達とかかわる時間は少なくても、共に経験したことは、多種多様で、誇れるものになりました。
 
途中で眠りの国へ一人で行きそうになってしまうこともあるけれど、これからも娘達と共に絵本の世界へ旅立ち、楽しみます。 

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