私の絵本体験記
「絵本フォーラム」63号(2009年03.10)より
読み聞かせは娘のため? 自分のため?
山崎 由莉さん (福岡県福岡市)

 「絵本の読み聞かせはいいらしい」。出産を3ヶ月後に控え仕事を辞め、ようやく出産に向けて準備を始めたときに知ったことです。
  「絵本?」両親は共働き。祖父母に育てられた私は絵本とはほぼ無縁で育ちました。そんな私でも絵本の読み聞かせをしようと思いました。なぜって?
  出産前までアナウンサーの仕事をしていて、せっかく身に付けた技術を無駄にしたくなかったからです(なんて自分勝手なんでしょう!)。しかも子どものためにもなるなら一石二鳥と飛びついたのでした。

 読み聞かせを始めたのは、娘の首がすわり支えればお座りができるようになった4ヶ月。図書館も利用し、おもちゃのひとつのような感覚で読み聞かせをしました。
  ほとんど反応しないので、本当にきいているのかな?本当にいいのかな?と疑問に思い始めた6ヶ月、ついに娘の目がきらきら輝く絵本に出会いました。それは『ごぶごぶごぼごぼ』(福音館書店)でした。他の絵本とは明らかに反応が違います。この絵本、気に入ったんだ〜。それからは読み聞かせがぐっと楽しくなりました。

 今では寝る前の読み聞かせは生活の一部です。娘との折り合いがつかずイライラしながら読み始めても、いつの間にかその世界に引き込まれてしまうから絵本って不思議。娘のためと思いつつ実は自分のためなのかもしれません(笑)。でも次から次へ絵本を差し出す娘に読み疲れて「もう勘弁して」と(嬉しい?)悲鳴を上げてしまうこともしばしばです。(やまざき・ゆり)

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