私の絵本体験記
「絵本フォーラム」54号(2007年09.10)より
「 大きくなってもまだまだ続く…」
竹内 典子さん(福岡県福岡市)

 幼い頃、会社人間本好きの父親は、毎週図書館通いをしていたので、私も毎週2冊の本を借りてくるのが習慣になっていた。

 当時読んだ本は数あったが、現在まで印象に残っているのは『ながいながいペンギンのはなし』(岩波書店)、『ももちゃんとプー』(講談社)など家にあり繰り返し読んでいた本であり、図書館の本は1度しか読まないためか記憶に薄い。
  『ゆみことつばめのおはか』(偕成社)や『ふたりのイーダ』(講談社)を泣きながら読んだ小学生時代。あれから絵本・児童書からは遠ざかっていたが、子どもが生まれ再び絵本の世界に戻ることとなった。
  一日中子どもたちと一緒にいるので時間はたっぷりあり、子育てに専念したおよそ 10年間は、近くの図書館に子連れで入り浸りになり自然に絵本を読んであげることが多かった。

 さて、成長した子どもたちは三者三様で、末っ子の小学生は5冊を平行読みするほどの本好きになった。2番目の中学生の部屋の中は漫画で一杯、いつも漫画を読んでいる。
  1番上の高校生は受験期に「本がないと勉強できない」と、『エラゴン』(ソニー・マガジンズ)や『ハリー・ポッター』(静山社)を手放さなかった。先日、小学生の末っ子が「これ、泣けるね」と『ハッピーバースデー』(金の星社)を持ってきたので、「お母さんも泣きながら読んだよ」と高校生に手渡したら「ちょっとよかったから宿題の読書感想文はこれにしようかな」と言った。
  漫画好きの中学生が5年前に揃えた『ドラゴンボール』(集英社)はその時に初めて読み感嘆した。最近、文庫本が出たので『精霊の守り人』(新潮社)を買うと、シリーズを先に読んでいた高校生に「お母さん、この本は繰り返し読むからハードカバーで買わなくちゃ!」と言われてしまった。ごめんなさい。

 そんなこんなで思春期真っ盛りの彼らと、本を通じて自然に会話できることが今とてもうれしい。(たけうち・のりこ)

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